ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/watanabe (7)

  • オピオイド依存症の深刻な社会問題を引き起こした、サックラー一族の壮大な物語

    サックラー家が何から収入を得ているかはほとんど知られていなかった(写真はパーデュー・ファーマ製のオキシコンチン) George Frey-REUTERS <芸術や文化に多額の寄付をするフィランソロピストとして知られていた大富豪ファミリーの知られざる収入源> 『ヒルビリー・エレジー』などのにも出てくるが、アメリカでのオピオイド依存症は非常に深刻な社会問題になっている。アメリカ政府の機関NIDA(米国立薬物乱用研究所)によると、2019年だけで約5万人もの人がオピオイドに関連したオーバードーズで死亡している。オピオイドの乱用によるヘルスケアコスト、生産ロス、依存症治療、犯罪などの経済的ダメージも年間785億ドル(約8兆円)になるという。 その深刻な問題を作り出した犯人として名前が知られるようになったのが、米製薬企業パーデュー・ファーマとそのオーナーであるサックラー・ファミリーである。『Emp

    オピオイド依存症の深刻な社会問題を引き起こした、サックラー一族の壮大な物語
  • トランプを支持し続ける共和党が象徴する「民主主義の黄昏」

    <なぜ民主主義は常に不安定で、独裁主義へと向かおうとするのか> 2021年1月6日、上下両院合同会議でバイデンの大統領選出の手続きが行われている連邦議会の議事堂にトランプ支持者が乱入し、警官1人を含む5人が死亡した。その後、自殺した警官もいる。民主党がマジョリティーの下院議会は、議会襲撃事件で「反乱を扇動した」としてトランプの弾劾訴追を決議した。二度も弾劾訴追された大統領はアメリカ史上初めてだ。結果的に上院議会はトランプに再び無罪判決を与えた。 トランプに不満を懐きながらも支持してきた伝統的な共和党の重鎮にとって、トランプがツイッターから永久に追放され、大統領の座を失ったのは、自分たちがコントロールできない「目の上のたんこぶ」を排除するチャンスだった。しかしながら、トランプ弾劾を支持した勇気ある共和党議員は少数派であり、支持者たちから攻撃されることになった。一方で、トランプは自分の党を作る

    トランプを支持し続ける共和党が象徴する「民主主義の黄昏」
  • 「文化の盗用」は何が問題で、誰なら許されるのか? あるベストセラーが巻き起こした論争

    パフォーマンスに和服?をモチーフにした衣装で登場し、炎上したケイティ・ペリー Lucy Nicholson <キム・カーダシアンの下着ブランドへの批判で日でも話題になった「文化の盗用」だが、その判断基準は明確ではない> アメリカで2020年1月に発売されてから、半年を過ぎた今でもベストセラーを続けている小説がある。メキシコから国境を越えてアメリカ移住しようとする難民の母子の物語であり、売れるのが納得できるページターナーだ。だが、それ以上にこの小説を有名にしたのは、Jeanine Cumminsという名前の白人(彼女の祖母はプエルトリコ出身のラテン系だということが後にわかった)が、メキシコからの移民について書いたことだった。 あらすじをざっと紹介しよう。 メキシコのアカプルコで書店を経営するリディアは、ジャーナリストの夫や親族と愛情たっぷりの生活を送っていた。リディアは、書店を訪れた年上

    「文化の盗用」は何が問題で、誰なら許されるのか? あるベストセラーが巻き起こした論争
  • 警官と市民の間に根深い不信が横たわるアメリカ社会の絶望

    <21世紀のハードボイルドの主人公は、絶望した人々に囲まれてまっとうに生きようとするシングルマザー> 5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドが白人警官に喉を押さえつけられて死亡する事件があった。地面に押さえつけられたフロイドが「息ができない」と訴え、周囲の目撃者たちも「もう動いていない。やめなさい」と抗議しているのに押さえつづけた動画がインターネットで広まった。 その後起こった抗議デモは、当初は平和的なものだったが、過激化して放火や略奪などの暴動にエスカレートした。フロイドを押さえつけた警官は逮捕・起訴されたが、5月30日現在でも暴動は収まっておらず、州知事は白人優越主義団体や麻薬組織などの部外者が暴力に関わっている可能性があることを語った。 日に住む日人には、ミネアポリスの暴動を理解するのは難しいと思う。これは、独立したひとつの事件ではなく、アメリカ独自の

    警官と市民の間に根深い不信が横たわるアメリカ社会の絶望
  • 社会に存在する問題に「真の名」をつけることの力

    <私たちがパワーを持つためには、現在起こっていることを誤魔化さず、見過ごさず、深く掘り下げることで、ものごとの「真の名」を見つけることから始めなければならない> 当欄でコラム連載中の渡辺由佳里氏が、コラム掲載記事などをベースに執筆した新刊『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)が今月(2020年3月)発刊された。筆者がアメリカのベストセラーを通じて、さまざまな社会問題を解説する書......ここではその「あとがき」としての意味合いもある結びの一章を特別に掲載する。 大統領選挙が行われた2016年から書を執筆中の2019年にかけて、アメリカ合衆国では異常な政治的なシフトが起こっている。 「スターだとなんでもやらせてくれる。なにをやってもいい」、「プッシーを掴んでやる」という発言を含む映像がニュースに流れ、何千人もの聴衆を前に「私が5番街の大通りの真ん中でだれかを撃ったとしても、

    社会に存在する問題に「真の名」をつけることの力
  • 先住民迫害の過去から目をそらすアメリカは変わるのか

    アメリカ先住民のアイデンティティーは個人によってさまざまだ(写真は17年にニューヨークで開催された祭り「Pow Wow」) Eduardo Munoz-REUTERS <先住民のアイデンティティーの問題が現代のアメリカ社会の日常で語られることは少ない> アメリカでは11月の第4木曜日に家族が集まって感謝祭(Thanks Giving)を祝う。そして小学生たちは、アメリカに入植した清教徒や先住民のインディアンの衣装を着てアメリカの感謝祭の歴史を学ぶ。 その歴史とはこういうものだ。イギリスでの宗教弾圧を逃れてマサチューセッツ州のプリマスに住み着いたピルグリム・ファーザーズが作物を栽培できずに飢えそうになっていたときに、その地の先住民であったワンパノアグ族(Wampanoag)が物を分け与え、栽培の知識を与えた。そのために生き延びることができた入植者は、収穫が多かった翌年にワンパノアグを招いて

    先住民迫害の過去から目をそらすアメリカは変わるのか
  • トランプ暴露本『Fear』が伝える本当の恐怖、もう日本も傍観者ではいられない

    <初日に90万部以上が売れたというボブ・ウッドワード著の暴露は、トランプアメリカを崖っぷちの危機に追い込んでいる事実を突きつける> トランプ就任後、ジャーナリストのマイケル・ウルフ著『炎と怒り(原作タイトル:Fire and Fury)』、元大統領補佐官オマロサ・マニゴールト著『Unhinged(錯乱状態)』など、大統領と彼を取り巻くホワイトハウスの実態を公に知らせる暴露が次々と発売されている。その中で最も期待されていたのが、9月11日発売のボブ・ウッドワードの『Fear(恐怖)』だった。初版のハードカバーは100万部刷られ、発売と同時にアマゾンのベストセラーリストのトップに躍り出た。ウッドワードの講演マネジャーによると初日に90万部以上が売れたということで、出版社サイモン&シュスターにとって史上最高の記録になった。 今年1月にベストセラーになったウルフの暴露は大統領選でトランプ

    トランプ暴露本『Fear』が伝える本当の恐怖、もう日本も傍観者ではいられない
    taron
    taron 2018/09/15
    トランプの意識にあがってないのは、幸いとしか言いようがないなあ。/しかし、ここまでバカなお山の大将が国家元首なのか。アメリカの官僚組織がどこまでもつのかねえ。/現実の恐怖。
  • 1