いまから50年前、1972年5月に沖縄の施政権がアメリカ合衆国から日本に返還された。 「返還50周年」「復帰50周年」とメディアによって報じられることもあるが、本土返還50年は、地元住民にとってはめでたいものでも、祝うようなことでもないのだという。第二次世界大戦の敗戦とアメリカ軍による占領によって生じた大きな負債は、いまなお沖縄に存在し続けている。 「復帰したあとに沖縄が強いられてきた状況はさらに見えにくくなっているし、問題は余計に深くなっている」 沖縄ジャズ第2世代を代表する音楽家のひとり、真栄里英樹(まえざと えいき)はこう語る。戦後の激動と混乱のなかで花開いた沖縄のジャズ文化も、本土返還で多大な影響を受けた。アメリカ軍の基地が縮小したことにより、基地内のジャズクラブも減少し、多くのプレイヤーが廃業を余儀なくされたのだ。しかしながら、ウチナージャズ(沖縄ジャズ)の灯は消えることはなかっ