かつて映画の興行街として知られた西陣地域(京都市上京区)で唯一残る映画館「千本日活」が、昨年夏の台風被害を乗り越え、7カ月ぶりに10日再開する。屋根の破損による雨漏りで使えなくなった座席を一新するなどの修復工事を終えた。関係者は「何とか復活の日を迎えることができそう」と胸をなで下ろす。 千本日活によると昨年9月4日、台風21号の強風でトタン屋根が吹き飛び、天井の壁に穴が開いた。雨水で座席がぬれ、翌日から休業を余儀なくされた。 昨年12月から修復工事を始めた。新しい屋根を取り付け、座席を全て入れ替えた。席数は1階132席、2階36席。これまでは計202席あったが、新しい座席は少し大きいため、全体の客数は減った。床も塗装を施した。修復費用は約7千万円で、ほぼ保険でまかなうことができたという。 映画便覧によると、千本日活は1961年に「五番街東宝」として開館した。同館は水上勉の小説「五番町夕霧楼