宮口:では、どうすれば自分を正しく知る力を養うことができるのか。効果的なのはグループワークですね。数人のグループで互いを観察していると、だんだん自分がどんな人間であるかがわかってくる。そのプロセスを経験させることがポイントです。繰り返すうちに、自分のなかに「人を見て自分を知る」仕組みが構築されていくはずです。 明治以降「自分」という存在を考えるように 養老:たしかに自己評価というのは、非常に難しい。ロビンソン・クルーソーなら、自分はあってもなくてもいいけれど、社会では他人があるから自分もある。だから自己評価が必要になってくるのでしょう。 もっともこの間会った禅宗のお坊さんは、「仏教には、自分なんかありません」と言っていました。とはいえ「無我」というのは、「自分という実体はないけれど、関係のなかで認識できる」ことを意味しますから、「人を見て自分を知る」のは理にかなっていますね。 それにしても