「寝てた、寝てたでしょ」 「寝てたけど、あなたの言う『寝てた』は睡眠行為のことでしょ。寝てたことが必ずしも睡眠行為とはかぎらない」 男が一人だけの部屋で、そんなことを口にしながらパソコンのキーを打ち続ける。 男の名は坂元裕二、脚本家だ。彼を半年にわたって密着取材した昨晩のNHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、そんな場面から始まった。彼が口にしていたのは、脚本に出てくる人物たちのセリフである。 先ごろ刊行された『脚本家 坂元裕二』(ギャンビット)に収録された坂元と宮藤官九郎(坂元の作品「カルテット」の出演者で同業者でもある)の対談では、セリフを《喋りながらじゃないと書けない》という宮藤に対し、坂元も《僕も書いてから、何回か声に出して読み直します。(中略)人には見せられない姿ですね(笑)》と打ち明けていた。番組のカメラはまさにその姿をとらえたことになる。 ドラマは人と人との関係ででき