浣花井著「異聞雑著」に描かれた円盤状の物体=榊原家文書、高田図書館所蔵 浣花井著「異聞雑著」に描かれた女性の絵や文字=榊家文書、高田図書館所蔵 茨城県に伝わる江戸時代の「常陸国うつろ舟奇談」。ベールに包まれた伝承を巡り、近年、関連史料が県外で新たに複数確認された。研究者は養蚕信仰の「金色姫(こんじきひめ)伝説」との類似性に着目し、一定の結論を見いだした。物語の謎に迫る研究が深化していた。 「研究するほど、養蚕信仰との関連が色濃くなる。うつろ舟の女性の描写が蚕の特徴に重なる」 うつろ舟研究の第一人者、岐阜大の田中嘉津夫名誉教授(75)が今、最も注目するのが、伝説に登場する女性の衣服などの描写と蚕との関連性だ。 これまでも、うつろ舟伝説と金色姫伝説は内容が似ているとされてきた。田中氏は新たに確認された史料に、女性の容姿に関する記述と養蚕技術との共通点を見いだし、謎の解明へ仮説を立てた。 ■漂着