鹿島神宮(鹿嶋市宮中)の門前通りに、独自に製造した香り豊かで味わい深いエールビールを提供する農家カフェ「パラダイス・ビア・ファクトリー」がある。自家栽培した麦などを原材料に使い、美食家たちをうならせているという。 オーナーの唐澤秀さん(42)は浜松市出身。東京都内の大学農学部を卒業し、2000年に県内の農業法人に就職した。そこで流通や栽培を学ぶうちに行き着いたのが、肥料も農薬も使わない「自然栽培」だった。太陽と大地、豊かな水と植物自体が持つ力で穀物や野菜を育てたいと考えたという。 08年に鹿嶋市内で約6ヘクタールの畑を借りて就農し、実際に自然栽培に挑戦。まずは以前の地主が使っていた肥料や農薬を土から抜くため、麦を栽培して残っていた肥料や農薬を吸わせ、その後に大豆を植える。大豆の根にある根粒菌という細菌が空気中の窒素を取り込み、土に供給してくれるからだ。