今秋は食品の産地擬装が話題になったが、その典型例は国産の食材と表示したものが外国産であるケース。だが、産地表示があるのは一次産品だけであり、加工品は書かれない。製造元が日本の企業であっても、その原料が外国産であることは、もはや珍しくないというより、多数派になってしまっている。 無形文化遺産登録が決まった日本の食文化だって、実は素材の多くが外国産に頼っていることは、皆うすうす感じているだろう。 それは食品以外にも広がっている。ここでは、いかにも日本の伝統品と思わせるものの実態をいくつか紹介しよう。 まず和紙。名称そのものが日本特産の紙なのだが、その材料は何か。 一般的にはコウゾやミツマタ、それにガンピが使われている。いずれも山野の一年性樹種だが、そのほとんどは輸入品だ。中国産が多いが、タイ、ベトナムなど東南アジア産も少なくない。それどころか、一部の和紙製造業者は古紙や木材のパルプを混ぜている