鍵は福島の現状理解 福島県など東日本の17都県で行われている農林水産物の放射性物質の検査について、国は1月末、「人が栽培管理する農産物では基準超えがほぼなくなり、検査を効率化する時期に来た」と検査を縮小する指針案を示した。福島では、生産者は出荷時に全品目の検査を受けており、「検査を縮小したら、消費者がどう反応するか心配だ」と戸惑っている様子だ。検査の縮小は科学的にも理にかなっていると思うが、生産者が戸惑うのは、福島の農産物の現状が消費者によく知られていない問題があるからだ。 今月半ば、福島県郡山市にある民間の農産物直売所「ベレッシュ」を訪れた。地元の新鮮な農産物がたくさん並ぶ中、透明なガラスばりの検査室が見える。担当者はキャベツやピーマンといった農産物を切り刻み、放射性セシウムの量を測る。地元の生産者はここへ農産物を持ち込み、品目それぞれが基準以下であることを確認して店に並べる。