人工知能(AI)を研究する松尾豊さん(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター)は、「『社会問題』という言葉に違和感を持つことがある」と言う。 それはいったいどういうことか――。何をどう「社会の問題」と定義するのかは、あらゆる問題に対する問いでもある。 松尾さんと、社会問題を専門とするリディラバの安部敏樹が議論する。 フードロスは「社会問題」か? 松尾豊(以下、松尾):リディラバは社会問題を軸に、さまざまな事業を展開しているということですが、そもそも僕は、「社会問題」という言葉に違和感を持つことがあるんです。 例えば、社会問題と言われているフードロスは、「本当に社会問題なのか?」と思うんですね。ロスが出るのは、資本主義の原理上そうした運用のほうが得だからですよね。 安部敏樹(以下、安部):確かに、製造や流通、小売りなどの契約上はそうなっていますね。