要旨 理化学研究所(理研)放射光科学総合研究センター生命系放射光利用システム開発ユニットの岡島公司客員研究員(慶應義塾大学理工学研究科特任助教)、山本雅貴ユニットリーダーらの共同研究チームは、大型放射光施設「SPring-8[1]」の放射光を用いたX線小角散乱法[2]によって、植物個体の光屈性や葉緑体の細胞内運動を制御する青色光受容タンパク質「フォトトロピン[3]2」の全長の立体構造を明らかにしました。 1880年、チャールズ・ダーウィンらは、光の方向に植物の茎などが屈曲する「光屈性」という植物における光合成効率を最適にする運動を発見しました。その後の研究で、光屈性の原因タンパク質として、青色光受容によって制御されるタンパク質フォトトロピン1とフォトトロピン2が見いだされています。特に、フォトトロピン2が青色光受容すると、その信号が酸化酵素ドメインに伝達され他のタンパク質をリン酸化してさま