人間の食料生産は、気候変動を加速させてきた。これを持続可能な生産方法に切り替えたら、気候変動を逆転させる足がかりになるのだろうか。 デンマークにある牛舎の中に、温室ほどの大きさのプラスチック製ボックスが設けられ、その中に「デイジー」がいる。牛のデイジーは、持続可能な未来へ向けた農業界の希望の星だ。デイジーに必要な物は何でもそろっている。丁寧に量ったえさが与えられ、水はいつでも飲める。ここに閉じ込められる時間も長くない。えさが期待通りの効果を発揮するまでの間だけ。つまり、デイジーがげっぷをするようになるまでの間だ。 なぜデイジーをしばらく箱に入れる必要があるのか、デイジーを見守るオーフス大学のメッテ・ニールセン教授(畜産学)に話を聞いた。箱の中で、大小のげっぷや放出される気体がすべて測定される。牛のげっぷには温室効果ガスのメタンが多く含まれるため、畜産が気候に及ぼす悪影響をいかに軽減するか方