私の保守主義観 私の生き方ないし考へ方の根本は保守的であるが、自分を保守主義者だとは考へない。革新派が改革主義を掲げるやうには、保守派は保守主義を奉じるべきでないと思ふからだ。 私の言ひたいことはそれに尽きる。 普通、最初に保守主義といふものがあつて、それに対抗するものとして改革主義が生じたやうに思はれがちだが、それは間違つてゐる。なるほど、 昔から仕来りや掟を重んじ守る人はゐた。が、同時に、さういふものに縛られることを厭い、現状に不満を感じる人もゐたのである。ただどちらの場合も、 さういふ自分をあまり意識してはゐなかつただけの話だ。最初の自己意識は、言ひかへれば自分を遮る障碍物の発見は、まづ現状不満派に生じたのである。 革新派の方が仕来りや掟のうちに、そしてそれを守る人たちのうちに、自分の「敵」を発見した。 先に自己を意識し「敵」を発見した方が、自分と対象との関係を、世界や歴史の中で自分