個人主義の運命―近代小説と社会学 (岩波新書 黄版 171) 作者: 作田啓一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1981/10/20 メディア: 新書 クリック: 3回 この商品を含むブログ (2件) を見る 社会学の基礎は二者関係ではなく三者関係としてとらえられるべきである。S(主体)、O(客体)、M(媒介作用、媒介者)を用いて、S-M-Oと表現されるこの図式は、他者を媒介とする動機づけのパタンの学習のことである。人間が何か対象を欲求する場合、そのパタンは媒介者から学習されるのである。 中世において個人主義は充分育たなかった。人々は中間共同体のなかで共同生活をしていて、個人主義も国家の概念も育たなかったのである。 だが、宗教の面ではプロテスタンティズムの台頭により、個人の信仰に宗教の本質が置かれ、中間共同体はすたれていく。また、経済の面では、資本主義の発達により自由市場で合理的に