バレないならば、男も女も誰もが不倫をするはず──。そう豪語する不倫コーチのアルベルト・アルナイスに会うために、幸せな結婚生活を送る英紙の男性記者がスペイン・バルセロナを訪れた。パートナーに対する裏切り行為も「隠し通せばいい」と正当化するプロから、「不倫の流儀」を学ぶ。 バルセロナは素晴らしい日だった。太陽は青空にトスした金のコインのように真上で輝き、ランブラス通りで味わうコーヒーとペストリーも最高。僕のワイフはといえば、ここから1000キロ北の、寒くてねずみ色のロンドンであくせく働いている。 それでも彼女はキュートなメッセージを送ってきた(「それって仕事? まあ楽しんで、このラッキーなクソッタレ」)。この手のパンチの効いたメッセージは、互いに信頼を寄せ、成熟した関係が続いているなによりの証拠だ。 つまり、僕の人生はこれ以上ないくらい最高だ。いや、これ以上になりうるだろうか? 実はその可能性