勝ちたいという気持ちは、どの選手も同じだろう。ただ、北朝鮮の場合は「勝利への圧力」が2倍にも3倍にも選手にのしかかっている。 理由1:国家養成の重圧 まず、「ステートアマ(国家養成選手)」としての重圧がある。脱北した元朝鮮労働党幹部によれば、故金日成(キムイルソン)主席はかつて、オリンピックについて「参加することではなくて勝つことに意義がある」と語ったという。元幹部は「北朝鮮では皆、国旗を掲げて争うのはスポーツと戦争の二つしかない、と常々言い合っている」と語る。 オリンピックや世界選手権で各国の間で有名なのが、「北朝鮮は勝てる種目にしか選手を派遣しない」というものだ。10月2日現在、北朝鮮が獲得したメダルは金5銀9銅5で、金メダル獲得数では9位につけている。金メダル獲得数で29個、第3位につけた日本に比べれば見劣りするが、北朝鮮がアジア大会に派遣した選手は約200人。約800人弱の日本選手