千葉雅也、納富信留、山内志朗、伊藤博明著、斎藤哲也編『哲学史入門Ⅰ 古代ギリシアからルネサンスまで』の本文を特別公開。ありそうでなかった学び直しの決定版!
千葉雅也、納富信留、山内志朗、伊藤博明著、斎藤哲也編『哲学史入門Ⅰ 古代ギリシアからルネサンスまで』の本文を特別公開。ありそうでなかった学び直しの決定版!
正木伸城 @nobushiromasaki 凄い本だ。 今後数十年は本書が人類史に関する議論の土台になるだろう。ビッグ・ヒストリーは万人にウケる。『サピエンス全史』もその先例だが、著者のハラリは専門家ではない。一方で、本書は専門家による人類史再検討書・素描書である。この本を読めば、『サピエンス全史』のヤバさがよくわかる。→ pic.twitter.com/Q7pMdsvSwB 2024-04-30 18:28:46 正木伸城 @nobushiromasaki 人類史は長らくこう捉えられてきた。長い先史時代があり、農耕革命や定住革命はじめさまざまなテクノロジーの革新があり、さらには都市や国家の誕生などを経て共同体も巨大になる中で現在のグローバル社会が誕生したと。ハラリもジャレド・ダイアモンドもスティーブン・ピンカーもこの路線を基本的に→ 2024-04-30 18:29:36 正木伸城 @n
「ポップ人類史」を根本から批判 『万物の黎明』のひとつのもくろみは、ユヴァル・ノア・ハラリやジャレド・ダイアモンド、スティーヴン・ピンカーなどのベストセラーの著者たちのテキスト、いわゆる「ポップ人類史」を根本から批判することにある。かれらへの言及と批判は、本書の随所にあらわれる。 かれらのほとんどが、人類学にも考古学にも門外漢である。しかし、かれらは人類学や考古学の領域でのめざましい近年の発見をつまみぐいしながら、旧来のパラダイムに巧みに適合させた著作を書いている。そしてそれによって人は、世界の見方を揺るがせにすることなく、新奇な発見をたのしむことができる、と。その批判は、辛辣である。 「わたしたちの議論展開に性急さのようなものが感じられるとしたら、その理由は、現代の著述家の多数が、ホッブズやルソーといった啓蒙時代の偉大な社会哲学者の現代版はわれなりといった風情で、おなじ壮大な対話を(ただ
2021年に発売され、人類の希望をあらためて世に問うた『Humankind』。オランダの若き知性が著した一冊は、その後話題を呼び、この度4万部の部数を突破をしたという。著者のルトガーブレグマン氏に、HONZ仲野徹が迫る!(HONZ編集部) 仲野 「ほとんどの人間は基本的に本質的にかなり善良だ」——ブレグマンさんは『Humankind 希望の歴史』で、こう主張されてますよね。私なんか疑い深いので、ついホンマかいなと思ってしまいます。ですから今日はそういうスタンスで、忖度なしにズバズバお伺いします。 ブレグマン はい、覚悟してます(笑)。何でも聞いてください。 仲野 人間が邪悪な存在であるという説の根拠となってきた、心理学における有名な実験の数々——人間は与えられた役割や権威者の指示によって、いくらでも残酷になれるという「スタンフォード監獄実験」や「ミルグラムの電気ショック実験(アイヒマン実験
著者:髙田 宗平出版社:八木書店出版部装丁:単行本(698ページ)発売日:2022-12-01 ISBN-10:4840622604 ISBN-13:978-4840622608 清朝以前に中国人が漢文(漢語)で撰した書物=漢籍。日本は前近代において、多くの漢籍が舶載・将来され、漢籍の書写・校合・講読・引用・印刷などの学問営為が行われた。あらゆる知識・情報の根源となった漢籍は、どのように受容され、日本文化に根付いたのか。 漢籍の伝来古来、日本人にとって、漢籍は中国文化を知り、これを学ぶ上で重要な道具であり手段であったことは周知の事実である。前近代において日本人は、漢籍を読むことによって知識を取得できたのであり、あらゆる文化は漢籍から読み解く知識がベースとなって生み出された、といっても過言ではない。漢籍はいかにして日本にもたらされたのか。古代から近世に至るまで、日本が漢籍を受容した歴史を概観
・歴史とは現在と過去との終わりのない対話である ・世界史とは各国史をすべて束ねたものとは別物だ ・すべての歴史は「現代史」である 名言だらけのE.H.カーの名著。 昔は「教養を身につけるため」と有難がっていた。今でも教養課程の必読書とされているかもしれない。文系理系関係なく読むべき名著といえば、『理科系の作文技術』とこれだろう。 ところが、新訳を読むと、がらりとイメージが変わった。「教養を身につける」という体裁よりも、むしろ、ユーモア満載、毒舌たっぷり、ハラを抱えて大笑いできる一流の講義になる。 論敵をあてこすり、酷評し、嘲笑する。死者を皮肉り、(歴史学も含めた)人文学を軒並み張ッ倒し、強敵は名指しで祭り上げ、しかる後にメッタ斬り。 母親の膝のうえで学んだ子どもっぽいナイーヴな学説だとか、成績が「可」ばかりの学生みたいな史観だとか、めずらしく階級的感覚の低い発言だとか、嫌味と毒舌のオンパレ
Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 (文春e-book) 作者:ルトガー・ブレグマン文藝春秋Amazonこの『Humankind』は、オランダで25万部以上の部数を重ね、『サピエンス全史』のハラリにも絶賛され対談をし、ピケティに次ぐ欧州の知性などと呼ばれる、オランダの若手寄りの(1988年生まれ)作家、ルトガー・ブレグマンの話題作である。 この本、書名だけだと胡散臭い宗教書にしか見えず、話題書というだけで手にとったのだけど、展開しているのはなかなか過激な主張だ。それは、『ほとんどの人は本質的にかなり善良だ』というもので、ほとんどの人とかかなりとかちょっと微妙な修飾語がついていてそこはかとなく不安にさせるが、本書はなぜそんなことが主張できるのかを、さまざまな実験・研究・歴史の事例から見ていくことになる。 それが過激な主張と思えるのは、人間が本質的に善良とは
著者:加藤 陽子出版社:毎日新聞出版装丁:単行本(288ページ)発売日:2021-07-27 ISBN-10:4620326909 ISBN-13:978-4620326900 1930年代の日本の外交と軍事を専門とする東京大学教授・加藤陽子氏の著書『この国のかたちを見つめ直す』が2021年7月27日、発売となりました。 本書に収録された文章は、2010年から2021年現在までに書かれたものです。この10年余という時間は、その入り口と出口が、日本にとって、そして世界にとって重大な経済危機に見舞われた年として記憶されています。危機の時代には、国家と国民の関係を国民の側から問い返し、見つめ直すことが必須だと説く加藤氏の「はじめに」を特別公開します。 内容によって六つの章に分けられたこの本は、ほぼ3種の文章からなっている。一つは、2010年4月から月1回連載された「時代の風」というエッセー、二つ
まえがき 本の雑誌2020年1月号に掲載された新刊めったくたガイドの僕が書いたノンフィクションガイドをここに転載します。連載初回で「かましたるぜおらぁ!」みたいにけっこう気合の入った本のラインナップになっているかなと。ブック・ガイドはもう何年もSFマガジンで海外書評を連載しているので特に硬さもないですね。 この月は本当におもしろい本が揃っていて、興味がひかれるものがあればどれを読んでもらっても楽しめるかと。個人的には『ミヤザキワールド』が面白かったな。 本の雑誌2020年1月号 危機と人類(上) (日本経済新聞出版) 作者:ジャレド・ダイアモンド発売日: 2019/10/26メディア: Kindle版今号からノンフィクションガイドを担当する、冬木糸一と申します! これからしばらくの間よろしく。というわけで最初に紹介するのは『銃・病原菌・鉄』で世界にその名を轟かせたジャレド・ダイアモンドの『
書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで 作者: フェルナンド・バエス,八重樫克彦,八重樫由貴子出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2019/02/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 「書物」ではなく「書物の破壊」に注目し、その起源から現代までを700ページ超えの圧巻の物量で概観してみせる凄まじい一冊だ。書物の破壊といっても、災害での消失から、戦争での破壊、思想・心情に反する焚書、虫食いまで様々なわけだが、本書はその全てを対象とみせる。一度2004年に初版が刊行され、後に好評を受け新版が出ているのだが(邦訳の底本はこっち)、そこでは「フィクションの中の書物の破壊」について語る部分まで挿入されており、やりすぎなぐらいにやってくれている。 書物は記憶を神聖化・永続化させる手段である。それだけに今一度、社会の重要な文化遺産の一部として捉え直す必要がある。文
知の巨人ウンベルト・エーコの、十余年にわたる講義録。 美と醜、虚構と陰謀、絶対と相対など、抽象的なテーマを俎上にのせ、フルカラーの図版を通して、具体的に迫ってゆく。ニュースやメディアで馴染んだネタから、ネットを駆使して追いかける必要のある美術作品まで、知的に振り回されるのが楽しい。 たっぷり知的興奮を味わったあと、見知ったはずの世界にある、見知らぬ裂け目に気づいたり、まるで異なる時代なのに、そこを貫く原理原則があったことを発見する。世界はもっとつながり合っているし、時代はもっと重なり合っている。人の営みは、かくも美しく、かくも醜いことを、あらためて知って驚く。 美とは何か たとえば、「美」について。 「美とは何か?」と概念で問われると、答えに窮する。イデアのように「美しさ」そのものを指し示されたとしても、それが(他の言葉でいう)何であるかなんて、分かるはずもない。せいぜい、わたしが美しいと
読書会のやり方は人によって様々だと思うが、面白く実施するためにはいくつかの条件がある。たしかに同じような読書量のメンバーが集まり、本をネタに好き勝手言い合うだけでも、それなりの楽しさはあるだろう。 しかしそれを継続的に習慣化していくためには、少なからず妄想のような会話にリアリティが伴ってくる必要がある。HONZの例で言えば、サイエンス本の話に触れながら、ふと感じた疑問に答え合わせのできる状況が整えばグッと面白くなるのだ。だからHONZの朝会にわざわざ大阪からやってくる大学教授の存在には、得難いものがある。 また信じられないようなノンフィクションを前にそれに近しい体験をしたことのある人の話が加わった時にも、盛り上がりを見せることが多い。自分では想像するしかなかったことが、誰かの体験と地続きになることで、一気に自分ごと化するような感覚が味わえるのだ。 そういった意味で本書に収められている読書会
ナチズムと聞いて思い浮かべるテクストといえば、アルフレート・ローゼンベルクの『20世紀の神話』、ヨーゼフ・ゲッベルスの日記、そしてアドルフ・ヒトラーの『わが闘争』であろうか。なかでも『わが闘争』は、第二次世界大戦後、ドイツでは長らく再版が許されてこなかったが、2015年末の著作権消滅を機にその扱いをめぐる議論がメディアで大きく取り上げられ、このテクストに対するドイツ社会の関心の高さを改めて印象づけた。 本稿では、ナチズム後のドイツ社会が『わが闘争』とどのように向き合ってきたか、『わが闘争』をめぐる近年の議論から何が見えるかを考えていきたい。 1925年に出版された『わが闘争』の売り上げは33年以降に飛躍的に伸び、45年までの総販売部数は1000万部を超えた。しかし、第二次世界大戦後、ドイツ占領にあたった連合国管理理事会の方針により、『わが闘争』は(学術研究のために図書館に保存される一部を除
情報コンテンツサービス終了のお知らせ 2020年9月30日(水)をもちまして、以下コンテンツを終了いたしました。 【終了するコンテンツ】 Zing! 長らくご愛顧いただきました皆さまに感謝を申し上げますとともに、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。 トップページ - サイトマップ - お問い合わせ
不確実な時代をクネクネ蛇行しながら道を切りひらく非線形型ブログ。人間の思考の形の変遷を探求することをライフワークに。 さて、2015年も今日で終わり。 最後に、今年読んだ本をいくつか紹介しておきたい。 特に、今年は「視覚表現史」とか「視覚表現の変遷を通じた思考の歴史」とでも呼べそうな本を集中的に読んだので、その中から面白かった7冊を紹介しておきたい。 紹介するのは、この7冊。 高山宏『アリス狩り』バーバラ・M・スタフォード『ボディ・クリティシズム』ユルジス・バルトルシャイティス『アナモルフォーズ』ピーター・コンラッド『ヴィクトリア朝の宝部屋』サイモン・シャーマ『レンブラントの目』マリオ・プラーツ『肉体と死と悪魔』ポーラ・フィンドレン『自然の占有』 では、1冊ずつ順を追って紹介。 高山宏『アリス狩り』最初に紹介するのは、僕の読書におけるたいていの本選びの基準となっている高山宏さんの処女作とな
失われた夜の歴史 作者: ロジャー・イーカーチ,樋口幸子,片柳佐智子,三宅真砂子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2015/01/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見るじっくりと考えてみるまでもなくこの世界において夜は──「半分」を占めている。であればこそ、夜を抜きにして語られた歴史は本来の歴史の半分しか語られていないといえる。本書『失われた夜の歴史』は、産業革命以前の「まだ、明かり(主に蝋燭)がそれほど多数に行き渡らず、高価だった時代」の中世ヨーロッパに焦点をあて、夜に人々がどのように生き、どのような行動が起こり、またどのような考えを抱いていたのかを様々な側面、一次資料から徹底的に洗いだした凄まじい力作である。 夜? 昔の人は寝てたんでしょ、と単純に思うかもしれない。もちろん、今とおなじく大半の人は寝ていた。覆しのようのない真っ暗闇の中で。強制的に執行され
知りたいことをネットで質問するのに、うまい方法がある。 初心者は、「○○について教えてください」と尋ねる。すると、Wikipediaのコピペを掴まされた挙句、「ちなみに旦那の年収は一千万円です」と聞かされるハメになる。上手な人は「教えてください」なんて下手に出ない。では、どうするか? 知りたいことについて分かってる限り、ドヤ顔で語り出すのだ。すると、その道の通たちが、寄ってたかって指摘してくれる。このブログで有難いのは、そうした専門家からツッコミをいただけるところ。 今回は、宮崎市定『アジア史外観』のレビューの反応から、『市民のための世界史』という素晴らしい本をご紹介いただいた(稲田さん、ありがとうございます)。これは、タイトルさえ知っていれば検索できるが、どういう目的で、何を条件にすればヒットするかは、絶対に分からない。「わたしが知らないスゴ本」は、読んだ誰かに教えてもらう外はない。「世
先週末30年ぶりにシリーズ続編として公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は突き抜けて凄まじい、破壊的なエンターテイメントだった。崩壊した地球文明の後に残った脳筋の男共が滅茶苦茶に改造されもはや原形が何だったのかさっぱりわからない車とバイクに跨り、何故か火を吹くギターを持って、裏切り者の女共を追いかけ上映時間の殆どをカーチェイスに費やす。走れども走れども砂漠以外何も見えない、荒廃した大地。資源は限られ少ない物資をヒャッハー!! と、暴力によって奪い合う、力こそ正義! な地獄絵図な世界が広がっている。 しかし、仮に核戦争なり宇宙人の侵略なり異常気象なり隕石の衝突なり、原因をどこに求めるにせよ、文明がいったん崩壊してしまったとしたら、本当にそんな破滅的な状況になるのだろうか? 失われてしまった文明はもはや戻らないのか? 逆に復興できるとしたら、どうやって? 本書は書名である『この世界
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