現在、早稲田大学・演劇博物館では「テレビの見る夢――大テレビドラマ博覧会」が開催されている。 これはその名の通り、日本のテレビドラマを創成期から現在に至るまでの歴史を博物館に展示するという試みである。 演劇博物館館長の岡室美奈子は、「これまで博物館の展覧会で日本のテレビドラマの通史が本格的に取り上げられたことはほとんどなかった」という。 その理由は様々だろう。ひとつには、テレビドラマが映画のような芸術作品としては認知されにくく、長らく消耗品として捉えられてきたという事実がある。実際、初期のドラマは録画技術を持たなかったため生放送だったし、VTRが導入されてからもテープが高額であったために一度録画したテープに上書きされるのが当たり前で、名作ドラマも含めて多くの番組が残存していない。また、著作権の壁をどう乗り越えるかという実際的な問題もあったはずだ。加えて、テレビ批評が映画や演劇のそれに比べて