凡人が戦い続けることに意味はあるか・映画「ちはやふる」評 映画「ちはやふる」では綾瀬千早(広瀬すず)は最初からポジティヴ天才人間として描かれる。それも外側からの視点で。つまり周囲にいる凡人たちから見た視点でちはやが描かれる。 何の才能もない平凡な高校生たち(つまり私たちのことでもある)がひとりの天才を仰ぎ見るという構図は必然的に物語全体に「苦さ」というものを生じさせる。 競技かるたは才能のある選ばれた者がやればいいのであって、何の才能もない者がやる意味なんてあるのか。勝つ見込みもないのに、なぜこんな苦しい思いをしなければならないのか。 これは大変シビアな問いを私たちに突きつけます。 「才能を必要とされる競技に、才能のない人間が挑む理由はあるのか」 この問いを普遍化するとこうなる。 「何の才能もない凡人が戦い続けることに意味はあるのか」 これが真島太一(野村周平)になると、さらにひどい形容詞