コールガールの女の子が素敵なレディに変身し、幸せを掴む話として知られるラブコメの名作『プリティ・ウーマン』。だが、王子様と思われていたヒロインの相手は…実は酷い男だった!? 公開から30年経った永く愛され続ける作品を二人はどう読み解くのか? ——公開から今年で30周年の『プリティ・ウーマン』(1990年)を取り上げます。久しぶりにご覧になられていかがでした? ジェーン・スー(以下、スー):公開当時は「現代のシンデレラ物語」的なロマンティック・ムービーとして観ていた記憶はあったものの、なぜ自分がそう思っていたのかを思い返すと…いま観たら同じ気持ちにはならないだろうなって予感はありました。30年ぶりに女友だちと一緒に観て、みんなでシュンとしちゃった。王子様の物語だと思ってたけど、全然違うじゃんって。大人になると見えてくるものが変わる。 高橋芳朗(以下、高橋):そうね、僕も興味深くて思わず二回観
というわけでまとめ。 例えば樹木希林演じる祖母の役割とか、駄菓子屋の親父の意味とか。 あるいは、治と祥太の関係性とか。 家族と恋人の違いとか。 とはいえそんなこと書いているといつまでも終わらないので、そろそろ終わる。 ただ、最後に書いておきたいのは、この映画と今この国で起こっていることとの関わりの話で。 カンヌのパルムドールという凄まじい偉業を成し遂げたにも関わらず、この国ではその賞の価値以上に、その後の監督の祝意辞退とか、監督のコメントとかに変なニュースバリューがついてしまって、わけのわからんところで騒ぎになったりしていた。 まあ、わけのわからん話はわけのわからん話として放っておくのが大人なのかもしれないし。 政治的な語り口は、とかく敵を作りやすいので、ここではあまり書かないようにしてきたのだけども。 ただ、今回はなんというか、今のこの状況までもこの映画が内包しているように感じるので、蛇
三菱リコール隠し事件(みつびしリコールかくしじけん)とは、2000年(平成12年)7月6日に運輸省(現:国土交通省)の監査で発覚した三菱自動車工業(以下、三菱自動車)の乗用車部門およびトラック・バス部門(通称:三菱ふそう、現在の三菱ふそうトラック・バス)による、大規模なリコール隠し事件をいう。 その後、2004年(平成16年)にはトラック・バス部門のさらなるリコール隠しが発覚し、乗用車部門も再調査された。結果、国土交通省によると2000年(平成12年)時点の調査が不十分だったことが判明した。これが決定打となり、三菱自動車・三菱ふそうはユーザーの信頼を失って販売台数が激減、2000年のリコール隠し以上となる従業員の退職者を続出させ、当時の筆頭株主であったダイムラー・クライスラー(現・メルセデス・ベンツ・グループAGならびステランティス、ダイムラー・トラック)から資本提携を打ち切られ、深刻な経
『かぐや姫の物語』を観た。強い衝撃を受けた。昔話のあらすじそのままでありながら、昔話ではなかった。これは、あきらかに現代を生きる女の話だった。震えた。 思春期を迎える頃に、かぐや姫は生まれ育った山を離れ、都へと連れていかれる。この時点でいくつかの喪失がある。子供時代の喪失。野山を駆け巡る生活の喪失。遊び仲間の喪失。姫は、このときまだ自分が何を失ったのか理解していないが、「子供時代の喪失」は、女にとって、人間性を一度失うことと同じである。女にとって、大人になるということは、ただ子供から大人になるということではない。大人ではなく、「女」になれ、という周囲からの強制が必ず働く。ただ自分の意志で好きなことをし、気持ちをそのままに表現できた子供時代を失い、人目を気にして誰から見られても恥ずかしくない「女」になれと強いられるのは、自分自身を捨てろと言われているのに等しい。都に移り住んだ姫は、走り回るこ
■ドリーム (監督:セオドア・メルフィ 2016年アメリカ映画) 《目次》 NASAの宇宙開発を支えた黒人女性たちの実話物語 ドロシーの場合 メアリーの場合 キャサリンの場合 NASAの宇宙開発を支えた黒人女性たちの実話物語 「NASAの宇宙開発を支えた黒人女性たちの実話物語」、映画『ドリーム』を観た。評判に違わぬ素晴らしい作品で、みんなも観るといいと思う。 この作品は基本的には「黒人で、さらに女性であることから、差別的に扱われていた主人公たちが、社会に認められ、自らの能力を十分に発揮できるようになること」が描かれ、そういった部分で注目を集めているのだろうが、他にもいろいろな軸がある。 3人の女性の友情物語。 その女性たちそれぞれの知性、努力、チャレンジ精神。 NASAの宇宙開発の物語であること。 その背景にある冷戦構造。 これら全てをひっくるめた60年代アメリカの文化と風俗。 これらが絡
■IT イット “それ”が見えたら、終わり。 (監督:アンドレス・ムシェッティ 2017年アメリカ映画) ■子供の頃に初めて意識した【死】の概念 オレが【死】というものを初めて意識したのは4歳か5歳ぐらいの時だったろうか。 当時、まだ小さかったオレは近所の保育園に通っていた。ある日、園の門の外で、大人が何かのチラシを配っていた。友達の一人がそれを受け取り、あとでオレに見せる。それはキリスト教会の日曜礼拝のチラシだった。きっと布教の一環だったのだろう。 キリスト教。子供の頃のオレには外国の神様、程度の事しか知らなかった。当時オレの田舎にはアメリカ軍基地があり、近所にも幾人かのアメリカ人家族が住んでいた。キリスト教会はその基地近くにあった。そのキリスト教会の入り口の窓にはキリストの肖像画が貼られていた。子供の自分には、日本の神様というのも気味の悪いものだったが、外国の神様も、やはり気味の悪いも
■戦狼 ウルフ・オブ・ウォー (監督:ウー・ジン 2017年香港映画) 『全世界興収1,000億円!』という煽り文句が強烈な映画『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』でございます。いやあびっくりさせられちゃいますよね、1000億円ちゅうたらオレの大好きなピザが東京ドーム10杯分ぐらい買えるんじゃないでしょうか。東京ドーム1杯分ぐらいでも十分多いって言うのにいったいどうしてくれるんでしょう。 で、「いったいなんじゃいな」と思って調べたところ、この『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』、あのウー・ジンが主演・監督を務めているっていうじゃないですか。実は以前、トニー・ジャーが目当てで映画『ドラゴン×マッハ!』観た時に、「なんかトニー・ジャーより目立ってる激強のおっさんがいる」と驚嘆した俳優がいたんですが、それがこのウー・ジンだったんですね(それまで知らなかったことをお許しください)。そんなウー・ジンが主演した全
■ジオストーム (監督:ディーン・デブリン 2017年アメリカ映画) 異常気象を無くすため人類の英知を結集して打ち上げられた気象コントロール衛星”ダッチボーイ”が暴走を起こしたッ!?それにより世界のあちこちで竜巻、津波、超低温、超高熱現象が巻き起こり、人類の運命は風前の灯火にッ!?それを阻止するために立ち上がった男、その名はジェラルド・バトラーッ!! 「100万人のペルシャ兵やテロリスト軍団を相手にしてきた俺がお天気ごときにビビるわきゃねーだろッ!?」 かくしてジェラルド・バトラ-対ダッチ・ボーイの戦いの火蓋が切って落とされたーーーッ!? ……とまあこうして粗筋を書いただけでも限りなく知能が下がってゆく気がしてならない映画『ジオストーム』でございます。地球の危機を救うためダッチボーイに殴り込み乗り込んだ男、ジェイクを演じるのがジェラルド・バトラーなんですが、このジェイク、決して石油掘削員と
キングスマン:ゴールデン・サークル (監督:マシュー・ボーン 2017年イギリス映画) スパイ・アクション映画『キングスマン』の続編登場 2014年に公開された映画『キングスマン』は『007』や『ミッション・インポッシブル』を髣髴させるシリアスなスパイ・アクションに『ジョニー・イングリッシュ』や『ゲット・スマート』のコミカルなおとぼけスパイテイストを加味した娯楽作品だった。同時に、イギリス独特のスタイリッシュさをカリカチュアライズして描き、さらに新米スパイである主人公のビルドゥングス・ロマンとしても成立している作品だった。(この作品のレヴューはこちら ↓ で) その続編となるのが今回紹介する『キングスマン:ゴールデン・サークル』である。今作では英国の諜報組織キングスマンが謎の組織ゴールデン・サークルに壊滅させられ、からくも生き残った主人公らがアメリカの諜報組織ステイツマンと手を組み、ゴール
■バーフバリ 王の凱旋 (監督:S.S.ラージャマウリ 2017年インド映画) バーフバリ!バーフバリ! バーフバリ!バーフバリ! 王を称えよ!! 新年早々日本全国津々浦々で異様な盛り上がりを見せているインドの歴史ファンタジー大作、『バーフバリ 王の凱歌』です。 物語は古代インドにおける架空の王朝・マヒシュマティ王国を舞台にした3代に渡る王位継承権闘争を描くものなんですね。この作品は2部作になっており、『王の凱旋』はその完結編です。前作は『バーフバリ 伝説誕生』というタイトルで日本でも劇場公開&ソフト化されていますから、今からでも遅くない!これもまたとんでもない映画だから観るがいいさ! バーフバリ 伝説誕生 [Blu-ray] 出版社/メーカー: 株式会社ツイン 発売日: 2017/07/05 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (3件) を見る とはいえ、映画『王の凱旋』冒
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く