日本人は今でも戦没者の遺骨収集を行っている。遺骨や墓にこだわるのは日本人に特有のようだ。そのことを私は今枝由郎「ブータン仏教から見た日本仏教」(NHKブックス)で知った。チベット〜ブータンは現在最も原始的な仏教が残っている地域だ。 葬式のあと、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌といった法事は、日本仏教ではごく普通のことであり、さらには五十回忌、百回忌とかも営まれることがある。(中略) 葬儀がもっとも盛大で費用がかかる法要であることは、全仏教圏共通であり、ブータン仏教でも、故人のためにできるだけの追善はする。しかし回忌法要があるのは、日本だけである。それは、仏教の輪廻思想からすれば、当然である。つまり、一般の場合、死後最長四十九日間で次の生まれかわりが決まるわけで、その間にできるだけ追善行為をすれば、故人によりよい生まれかわりが期待できる。しかし、すでに生まれかわった人(もっとも、人として生ま