コラム:神楽坂をめぐる・まち・ひと・出来事 「ひと、まち に出会う」 「神楽坂コンフィデンシャル」 「熱情」 わたしの自宅は、市川市真間に住む年老いた妻の両親の家に近い国府台にある。わたしがまちづくりに関わるようになったのは、当時すんでいた市川市八幡の自宅前を流れる真間川と桜並木だった。 「あなたの敷地を測量したい」 千葉県と市川市の職員がある日八幡の自宅を訪ねてきた。 「なんで?」 いぶかるわたしに職員が説明したことによると、ここは水害が多く、川幅を広げなくてはならない、そのための測量だという。わたしの敷地も改修区域に入っているらしい。 わたしたちが土地をもとめてここにやってきたのは、真間川の野川のような細流と桜並木の取り合わせに魅せられたからだ。なにより美しいのは枝が川に向かって垂れさがり、両側の桜がトンネル状になる満開のときである。永井荷風がしばしば散歩していたことも土地のひとから聞