20年前、ドラフト史上最年少の15歳で指名を受け、阪神タイガースに入団した辻本賢人。だが、入団後は幾度も故障に見舞われ、プロ野球選手としてのキャリアは順風満帆とは言えなかった。それでも辻本が「プロ入りをまったく後悔していない」と語る理由とは。「怒ってくれる人からは、愛を感じました」。笑顔でそう振り返る阪神時代に迫った。(全3回の2回目/#1、#3へ) 15歳でのプロ入りは“時期尚早”だったのか 「15歳のプロ野球選手」が誕生したのは今から20年前である。2004年11月に阪神からドラフト8巡目で指名された辻本賢人は、タイガースでの日々をこう振り返る。 「自分の人生の中で起きたことやと、ホンマに思えないというのが、正直な話なんです。ホンマに自分やったんかなと。全然、違う人生やったように感じることがあるんです」 神戸出身の彼は、遠くなった昔のことを柔らかい関西弁でよどみなく話す。