「誰かがふと思った。生物(みんな)の未来を守らねば…」 これは、岩明均の漫画『寄生獣』(講談社) の冒頭に登場する有名なフレーズだ。 ここでいう「みんな」とは誰のことだろうか。人によって「みんな」の範囲は家族や友人だけかもしれない。現代人の多くは同じ国に住んでいれば「みんな」と感じるかもしれないし、もっと大きく人類すべてを「みんな」と思う人もいるだろう。 そして、人類以外の哺乳類も「みんな」の枠内だと考える人もいる。「みんな」の範囲は、時代によっても変化してきただろう。人間はいつだって「みんな」を守るために戦ってきたとも言える。ただ、「みんな」の範囲が違っているだけだ。 現代は、気候変動による世界的な大災害の多発などもあって、「みんな」の範囲がかつてなく拡大している時代と言える。地球全体の「みんな」のことを考えないと生き残れないという感覚が広がっている。だが、それほど巨大な視点で「みんな」