日本の鉄道の混雑は、異常である。混雑の本質的な原因を指摘すると共に、鉄道が本来持っている存在価値、特にローカル線の存在価値を再確認。リニア新幹線の負の側面についても言及す… 鉄道は誰のものか [著]上岡直見 ブルートレインなどの廃止が発表されると、駅のホームには「最後の雄姿」を撮ろうとマニアが詰めかける。鉄道会社が決めたことは既成の事実となり、誰も批判しようとはしない。また鉄道ライターの多くも、取材先である鉄道会社を批判すれば食い扶持(ぶち)がなくなってしまう。マニアやライターは数多くいても、真の「鉄道評論家」はいないのかと常々思っていた。 そうした私の満ち足らぬ思いを払拭(ふっしょく)してくれる、見事な本が現れた。著者は環境政策の専門家のせいか、文体にマニアや鉄道ライターのような気負ったところがない。まるで原発の問題点を指摘するかのごとく、さまざまなデータを交えながら日本の鉄道の問題点を