かつて禁止令が出され「悪風汚俗」とまで言われた琉球の入れ墨「ハジチ」だが、今の若者が身にまとえば日常風景にも意外と溶け込む。父親が那覇市出身の平敷萌子さん(29)=東京都=はハジチを施すハジチャーとして、東京を中心に活動する。最近は県内からも仕事の依頼があり“逆輸入”で活躍の場を広げる。「自分のルーツ、沖縄につながる形のあるものだと思う。残していきたい」。消滅したとされるハジチを復興させようとの思いを、その手に刻む。 自らも両手にハジチを彫りハジチャーとして活動する平敷萌子さん=3月、那覇市内 「沖縄っぽい」「ハーフ?」。栃木県宇都宮市で生まれ育った平敷さんは幼い頃からそう言われてきた。なじみの薄い名字や見た目だったのか、自分の意思とは関係なく、むしろ周囲の言動から「うちなーんちゅ」であることを強く意識させられたという。 そんな平敷さんがハジチと出合ったのは多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒