民主党政権になって、経済の本質を踏み外した政策がしばしば見られるようになった。原則を踏まえれば、本来あり得ないような政策が十分な議論もないまま決定されていく。中小企業などにほぼ無制限に返済猶予を認める「モラトリアム法」は、不良債権を塩漬けし資産の配分を歪めて金融機能を低下させている。雇用調整給付金は労働の効率的な移動を妨げ、中期的な経済活力を削(そ)いでいる。 結果的に日本経済のパフォーマンスはここ数年、世界の異常値といえるほどに悪化した。株価は最近、少し上昇しているとはいえ、過去5年間で42%の下落。5年前の水準を回復した米国やドイツなどに大きく見劣りする。就業者は4年間で140万人減少した。 ≪原則なき政策の列にまた一つ≫ 原則を踏み外した政策に、新たに東京電力の救済が加わろうとしている。原発事故の補償などをきちんと行えば債務超過になることが明らかな東電を、政府は実質的に「救済」しよう