日本人はどうして席を譲らないのか?——台湾の「同理心」と日本の「自己責任」から考える 文化 社会 2018.12.02 「ほら、こっちに座りなさい」 電車やバスの中で身体の不自由な人、妊婦、高齢者、小さな子供づれの人を見かければ誰かしら声を掛ける。声を掛けられた人も素直にそれを受け入れるし、「もうすぐ降りますので」という反応でも特に気まずい空気が生まれることはない。シャイな若者の場合、声は出さずとも、気付けばさっと身体を動かす。今では見慣れた台湾のバスや電車での光景だが、最初は驚いた。なぜなら現在の日本では残念ながら、こういった光景が一般的ではない。日本は、公共の場において親切さに欠ける社会である。妊娠・出産後、しばらく東京で過ごした筆者は身をもってそれを実感した。あれから10年ほどたつのだから、少しは何かしら改善されたのではと思っていたが、知人から現状を聞けば、むしろ状況は悪くなってさえ