年を取ったり病気になったりすると、食べて飲み込む力(嚥下(えんげ)機能)がどうしても弱くなる。食が細くなると栄養が十分に摂取できず、さらに健康が損なわれてしまう。こうした人たちに食べる喜びを届けようと、嚥下サポート食が進化している。季節の食材を取り入れるのはもちろん、味も見た目も美しい。口内でとろける会席料理に和菓子、日本酒。常識を覆すメニューが和食の本場、京都で次々と生まれている。 歯茎でつぶせる会席料理マグロやタイのお造り、寒ブリの西京焼き、すっぽんと焼き餅のスープ…。言われなければ、飲み込む力が衰えた人向けの会席料理とは分からない。「京料理 せんしょう」(京都市右京区)が予約制で提供しているメニューは、歯茎でつぶせて口の中でほどけるものばかりだ。 調理したものをミキサーでつぶし粘土細工のように成形。お造りは最も細かい1ミリ程度に切り刻む。衣を付けた天ぷらでは胃もたれしてしまうので、天