お坊さんをしておりますと、漢字に触れるという機会が多くあります。お経は漢訳されたものですし、あるいは亡くなられた方に法名をつけさせていただく時にも、どんな字を使おうかなど、お経や漢和辞書と向き合ったりします。 そんなこともあって、時々漢字の成り立ちやどうしてこの言葉にはこの漢字が使われているのだろう?と疑問を感じることがあります。そんな中でも、ずーっと気になっているのが「仏(ぶつ・ほとけ)」という言葉。仏教にはこの「仏」という漢字が当てられ、お釈迦さま、ブッダ(buddha)は「仏陀」と音訳されています。音訳、つまり音に漢字を当てたということですから、「仏」という漢字にはそれほど意味はないのかもしれません。しかし、「ブッダ」という言葉には、「浮屠・浮図(ふと)」という漢字を当てることもあります。ところが今では「浮屠・浮図」という言葉はほとんど使われません。なぜ「浮屠・浮図」ではなく、「仏」
意味 仏とは、仏教上の完全な悟りを開いた聖者。仏や菩薩、及びそれに準ずる優れた聖者や高僧仏陀。釈迦。死者。死体。死者の霊なども仏と呼ばれる。 語源・由来 仏の語源は、下記以外にも諸説あるが、1の説が有力とされる。 1.目覚めた者を意味するサンスクリット語「buddha」が、「浮屠(ふと)」と音写され「ほと」に転じた。 「ほと」に、その道の人を意味する「家(け)」、もしくは「もののけ」などの霊妙なものを示す接尾語「気(け)」が付き、「ほとけ」になったとする説。 2.仏教伝来時(欽明天皇の時代)に、熱病である「ほとほりけ」という疫病が流行していたため、仏教を謗って(そしって)命名したとする説。 3.仏教は、煩悩(ぼんのう)を解脱(げだつ)するため、「解け(ほどけ)」の教えを崇めたことから、転じて「ほとけ」になったとする説。 ほとけが「仏陀(ぶっだ)」の意味として使われたのは、天平勝宝5年(75
欺瞞的同根語(ぎまんてきどうこんご、英語:false cognate、「見かけ(偽)の同根語」の意味)とは、発音や意味が似ているため一見すると同根語に見えるが、実際には語源が異なる単語のペアを指す。ペアが存在するのは同一言語内のケースもあれば、異なる言語間のケースもあり、さらに、同じ語族内のケースもある[1]。例えば、英語のdogとムババラム語(en:Mbabaram、オーストラリアのアボリジニーの言語)のdogは意味が同じ(「犬」)で、発音もそっくりだが、実際には偶然の一致でそうなったにすぎないケースである。同様に、英語のmuchとスペイン語のmuchoも意味が似ているものの、それぞれインド・ヨーロッパ祖語の異なる単語に由来するものである。これに対し、「見かけ(偽)の友達」(英語:false friend、空似言葉)は、つづりや発音が似ていて、語源的なつながりもあるが、意味が異なるペアを
日本ではヘボン式のローマ字表記で「ラ」行に「R」が使われる。その一方で、英語の「R」の発音が苦手な日本人も多い。とはいえ「R」の発音と一口に言っても実は様々で、その人の背景や地域の歴史などを知る手がかりにもなる(文中敬称略)。 「R」の発音の仕方と一口に言っても、実に様々だ。うなったり、舌を丸めたり、舌を巻いたり。まるでドクター・フーのように変化して、まったく別の音になるものの、どれも「R」であることに代わりはない。ドクター・フーがどれだけ姿かたちを変えても、同じ「ドクター」だというのと同じように。けれども、どういう「R」の音を出すかによって人は、自分がどういう人間で、出身はどこで、どういう風に思われたいのか、実に雄弁に物語っている。 少なくとも1種類の「R」音を含む言語は、世界全体で75%に上る。「R発音」を英語の言語学用語で「rhotic」と言う。ほとんどの言語に「R」の音が含まれるも
私たちは何かを書くとき、往々にして省略を用います。例えば、「1位/1番」すなわち「ナンバーワン」という意味で“No.1”のように書きますよね。 しかしこの“No.”、よく考えてみると不思議です。「ナンバー」と読むはずなのに、英語の“number”には“o”が入っていません。省略するなら“Nu.”なのでは? oよ、おまえは一体どこから来たんだ……? そもそもラテン語由来だった! 実は“No.”は、英語の“number”の省略ではないのです。では省略する前は何だったのかといえば、“numero”。ラテン語で「数において」という意味の単語です。 なるほど、“numero”の中には、確かに“o”が入っています。これにて一件落着……? なんでそこを取るんだ いやいや、“numero”を省略するなら“Nu.”で良いはずです。どうしてわざわざ最後の文字を取ってしまったのでしょう? これには、ラテン語の「
ロヴァーシュ文字(ロヴァーシュもじ、rovásírás, székely rovásírás, székely-magyar rovás=𐲥𐳋𐳓𐳉𐳗-𐳘𐳀𐳎𐳀𐳢 𐲢𐳛𐳮𐳀𐳤)はおよそ西暦1000年以前にマジャル人が用いていたアルファベット。右横書き。 ロヴァーシュ (rovás) はハンガリー語で「彫る、刻む、記録する、書く」を意味する動詞 ró から派生した名詞で「刻み、書き」を意味する。イシュトヴァーン1世の改宗に見られるようなキリスト教の普及により次第にラテン文字が用いられるようになって廃れたが、トランシルヴァニアに住むセーケイ人の間では1850年代後半まで伝存した。20世紀初頭の復活、またここ20年の使用運動や技術的な発展により、現在の採用は全ハンガリー語圏において急激に広がっている。 現在の正書法においては、二字一組で書かれたり記号をつけたりして表す
憶良は、わが子を得て、心弾む幸福感に包まれます。およそ世の中に、この幸福に共感を覚えない親があるでしょうか。憶良の心情は、古今を通じて世界の親の心情でもあったでしょう。 こんな思い出があります。大学3回生、1970年の夏のことでした。郷里の友人と大阪万博を見にいくため茨木の駅で降り、万博会場行きのバスに乗って座席に座りました。やがてバスは混んでゆき寿司詰めの状態になりました。私の目の前に、父親に連れられて乗ってきた幼い女の子が立ちました。私は即座に、自分の席を女の子に譲ってあげました。そのときです、30代半ばの父親がさっと私に向き直り、「まことに、ありがとうございます!」と、深々と頭を垂れたのです。私は何ごとかと、驚きました。こんな大人の男性が、20歳の青二才たる私の如きにそんな礼儀正しい感謝の態度をとってくれるとは、啞然とするほどの衝撃でした。父親というものは、わが娘のためなら、こんなこ
――― 英語で「私は」を表す「I」は、常に大文字にしなければならない。 学生のころ、こんな理由でテストで減点された経験がある人は多いはず。でも、どうして文中の位置に応じて「You/you」のように使い分けるのではなく、“どこにあっても必ず大文字”というルールだったのでしょうか。 マンガをまとめて読む 解説 「I」に大文字が使われる理由については「英語圏の人たちは自己中心的だから『私』だけ大文字」などと説明されることもあるそうですが、これは誤りだといいます。英語の歴史をたどると、もっと合理的な理由が見えてくるのだとか。 古英語などでは、「私は」は「ic」「ich」といった書き方で、そこから短くなったものが「i」という表記だといわれています。たった1文字で字の形もシンプルなので、書くときは楽そうですが、問題は読むときです。 「m」「u」「n」といった縦線が多い文字と並ぶと「i」は見落としやすい
お知らせ 2023年10月30日に khelf による『英語史新聞』第7号がウェブ上に一般公開されました.こちらからPDFでご覧になれます.hellog でもこちらの記事で第7号公開についてお知らせしています.公開後も khelf の X (旧ツイッター)アカウント @khelf_keio より関連情報を日々お伝えしますので,ぜひフォローをお願いします.2023/11/03(Fri) お知らせ 2022年2月26日に,同僚の井上逸兵さんと YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を始めています.毎週(水)(日)の午後6時に更新予定です.チャンネルの趣旨としては,こちらの hellog 記事あるいは Voicy でのアナウンスをご一読・ご視聴ください.直下(↓)は最新の YouTube 放送となります.本ブログの関連記事もお読みください.2022/03/10(T
本来の名前とは別に、親しみなどを込めて使う呼び名を意味するニックネーム(nickname)は、日本でも日常的に使われている英単語の1つ。名称の一種なので「ネーム」なのはともかくとして、頭についている「ニック」とは一体、何なのでしょうか。 マンガをまとめて読む 解説 ニックネームという言葉の誕生は、14世紀初頭までさかのぼることができ、かつては「ekename」というつづりだったとか。「eke」は現代で言うところの「additional」「extra」などに相当し、直訳すると「追加の名前」という意味になります。ここから時代をへて「“eke”name→“neke”neme→“nick”name」と変化していったといわれています。 ちょっと不思議なのは「多少音が変わってしまうのは当然としても、どうして『n』が付いたのか」という点。これには英語の不定冠詞「a」が関わっているといいます。 「an a
第10回 なぜ you は「あなた」でもあり「あなたがた」でもあるのか? 1 単複を区別しないのは2人称代名詞だけ 英語は日本語と比べると,2人称代名詞を選ぶのに気を遣わないでよいので気楽だ,とよく言われます.日本語では,相手や状況によって「あなた」や「きみ」や「おまえ」などから適切なものを選んで使う必要があり,挙句の果てに,いずれもしっくり来ないので使わないで済ませるということも日常茶飯です.それに引き替え,英語では you という魔法のような1語で済んでしまいます.相手や状況によらず不変であり,原則として省略されないという点で,まさに日本語の対極に位置しているといっても過言ではありません. 英語の you はこのように気を遣わずに利用できて便利ではありますが,よく考えてみると,これは英語らしからぬ側面のようにも見えます.というのも,英語は何かにつけて数(単数と複数)の区別にうるさい言語
センターの英語かなんかで出てきたんですかね、「摩天楼」を意味する「Skyscraper」についてのツイートが伸びていました。 skyscraper すなわち「空をこするもの」を「摩天楼」と訳した人は本当にセンスある。skyを空ではなく天にしたり、scrapeに擦でも掻でも磨でもなく摩を当てる雅びな言葉選びで、「まてんろう」という音の響きもいい。そして読み下せば「天を摩する楼」ってまんま原語の直訳。天才の所業だわ。 — 佐藤ケイ(´ヮ` )11月新刊 (@K9uNS7uFrBC31BA) 2018年1月15日 skyscraperを「摩天楼」という字をあてたことに対するすばらしい感覚について述べていますが、果たして本当のところ、この語を誰が訳したのか、調べてみました。ちなみにこのツイートのリプについている情報は興味深いものばかりなので、目を通されることをオススメします。 skyscraper
by rawpixel.com お茶の呼び方には大きく分けて2通りあり、1つは英語の「tea」やスペイン語の「té」などに代表される「ティー」。そしてもう1つは日本の「茶」やインドの「chay」に代表される「チャ」という呼び方です。ティーもチャも、いずれも語源は中国にあります。そして、世界におけるお茶の呼び方の広がり方を見ると、「グローバリゼーション」という言葉が広まる前のグローバリゼーションが、どのように起こっていたのかを見ることができるとのこと。 History of the word "tea": How the word "tea" spread over land and sea — Quartz https://qz.com/1176962/map-how-the-word-tea-spread-over-land-and-sea-to-conquer-the-world/ 以
現代英語の学習者が,初めて中英語で書かれたテキストを読もうとするときに驚くのは,スペリングの多様さである.例えば,後期中英語期には through という単語はなんと515通りもの異なるスペリングがあり得た. doruȝ-, dorw, dorwe, dorwgh, dourȝh, drowgȝ, durghe, durwe, -thogh, thorch, thorew, thorewe, thorffe, thorg, Thorgh, thorgh, -thorgh, thorgh, thorghe, thorght, thorghw, thorghwe, thorgth, thorh, thoro, thorogh, thoroghe, thoroght, -thoroght, thorohe, thoroo, thorou, Thorough, thorough, thorough
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