仏教国のタイで僧侶の「メタボ」が増えている。節制や禁欲のイメージが強い僧侶だが、経済成長に伴う食生活の変化から、市民がささげる供物が高カロリー化したのが原因だ。危機感を強めた専門家が、タイ国内の約35万人の僧侶に対し、ダイエットを呼び掛ける事態となっている。 ⇒メタボ症候群の慢性炎症 抑制の仕組み解明 まだ薄暗い午前6時前。バンコク中心部にあるパトゥム・ワナーラーム寺院から、黄色いけさをまとった僧侶たちが早朝の街に向けて歩きだした。最低限の生活必需品しか所有しない僧侶が、市民から最低限の食料を分けてもらう修行の一つ「托鉢(たくはつ)」だ。 僧侶歴34年のパラット・サクンさん(53)が住宅街の路地に入ると、市民が袋に入れたご飯や炒め物、デザートを次々に差し出す。「托鉢は一番の運動。無心で歩いています」とサクンさん。手に持つ鉢は30分で満杯になった。 僧侶の肥満が判明したのは、チュラロン