●はじめに 環境保全型農業レポート「No.168 アメリカで不耕起栽培が拡大中」に紹介したように,土壌侵食が深刻なアメリカでは,侵食を軽減するために耕起回数を減らして,作物残渣を土壌表面に放置するミニマム・ティレッジや保全ティレッジが広く使用されるようになっている。No.168でティレッジを耕起と訳したが,通常,耕起はplow,耕耘はplow + harrowing(砕土)の意味なので,本号ではティレッジを「耕耘(こううん)」と訳すことに修正する。 ●溝切耕耘(strip till) 溝切耕耘は,今回紹介する論文でも中心にしている保全耕耘方法である。これはNo.168に紹介したが,次のような方法である。 播種の前または播種作業と同時に,ナイフ様装置を使って,土壌に切り込みを入れて作った残渣のない溝(幅15cmまたは畦幅の1/3程度,深さ10〜20cm)を作る耕起方法である。溝切り時に,溝中
●はじめに 環境保全型農業レポートは,これまでに国内外の有機農業に関する情報を少なからず紹介してきている。それらを踏まえて,欧米と日本の有機農業に関する法律の違いを要約しておく。 ●有機農業に対する,EUとアメリカの法的姿勢の違い 有機農業に関する法律が国際的に単一である必要はなく,国によって違いがあって当然である。例えば,EUとアメリカでは有機農業に対して次の違いがある(環境保全型農業レポート「No.24 有機農業に対する政府の取組姿勢」)。 (1) EUの基本的姿勢 EUは,有機農業は環境汚染の軽減,生物多様性の向上,農村景観の保全などの重要な便益(多面的機能)を社会に提供しているが,農業者はこうした社会的便益を意識しておらず,その提供に対して対価も受け取っていない。そこで,慣行農業に比べて収量の低い有機農業に転換したり,実施したりすることによって生じた収益減を補償し,社会的便益に対す
●はじめに プラスチックフィルムやマイクロプラスチックが海洋動物の生活を脅かしているケースなどが,世界的な環境問題として話題になっている。農業では,ハウスの被覆,マルチ資材や肥料袋などとして使用されたプラスチックフィルムや容器などが土壌表面に廃棄されて,景観を損なったり,風で飛ばされて電線にからまったりなどして,問題を起こしている。しかし,農業で意外に問題視されていないのが,土壌に混入した5 mm未満のマイクロプラスチックの,土壌や作物に対する影響である。この点について,下記の論文が最近の研究結果を報告している。その概要を報告する。 文献1 A.A. de Souza Machado, C.W. Lau, W. Kloas, J. Bergmann, J.B. Bachelier, E. Faltin, R. Becker, A.S. Görlich and M.C. Rillig (2
> 最新技術 ノートでの圃場管理はもうウンザリ……。 デジタル化して「次世代農業」を始めよう 2020/01/31 農薬、肥料の使用回数や収穫量といった大事な情報を、台帳やメモで管理していないだろうか。紙での情報管理は、ミスのもと。スマホやパソコンで各種データを管理できる『アグリノート』に切り替えよう。 作業の“漏れ”や“抜け”に つながる紙での記録管理 農薬散布や施肥、収穫など、多岐におよぶ日々の農作業。台帳やカレンダーへの記入を通し、作業の記録を行っている農家は多くいるはずだ。 しかし、月日が経つごとに情報を記録した紙が増え続け、やがて過去にさかのぼり記録を確認することが困難になる。また、記録の見落としによる、作業の“漏れ”や“抜け”といったケアレスミスも発生しやすくなる。たくさんの圃場を管理している農家や、多品目の栽培を手がける農家の場合、こうしたシーンに直面する機会がおのずと増える
●はじめに 有機農業による作物単収は慣行農業よりも低く,そのため,有機農業は慣行農業よりも収益が少ないと思われがちだが,実は,有機農産物の価格プレミアムによって,慣行農業よりも高い収益性を上げている。そのことをまとめた下記の研究を紹介する。 D.W. Crowdera and J. Reganoldb (2015) Financial competitiveness of organic agriculture on a global scale. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 112: 7611-7616, および上記の補足情報 D.W. Crowdera and J. Reganoldb (2015) Supporting Information. 9pp.
● はじめに 中国農業の歴史,現状や課題に関する著述は多いが,中国農業の環境パフォーマンスの状況と課題を簡潔にまとめた著述が少ない。その1つとして,下記がある。 OECD (2018) Innovation, Agricultural Productivity and Sustainability in China, OECD Food and Agricultural Reviews, 190pp. OECD Publishing, Paris. 本書は,OECD貿易・農業局エコノミストの木村伸吾(OECD以前は農林水産省に在籍)と,Guillaume Gruéreの両氏が中心になって執筆したものである。その「第2章 中国の食料および農業の状況の概要」を中心にして,中国の農業とその環境パフォーマンスの現状と課題を紹介する。 ● 中国農村の土地請負制度 中国における農地の所有権や農業経営権
千葉大学はハウス栽培のブドウで、夜間に青色発光ダイオード(LED)を照射すると、糖含量と着色が高まることを明らかにした。照射は日没後と日の出前のそれぞれ3時間行った。糖度が上がりにくい冬の作型や二期作で役立つとみる。 ブドウ栽培で青色LEDを夜間に照射する試験は全国でも先進事例。試験では、波長450ナノメートルの青色LED電球を、果房の横20~30センチの距離に設置した。果粒軟化期となる満開後25日目から収穫まで照射した。試験では赤色LED区(波長660ナノメートル)と無処理区を用意し、糖含量と着色を比較した。 ハウス栽培の「巨峰」で試験したところ、果実100グラム当たりの糖含量は、青色LED区で約140ミリグラム、赤色LED区で約130ミリグラムと、無処理区より3割以上多かった。 アントシアニン濃度は青色LED区で最も高く、次いで赤色LED区、無処理区となった。着色は青色LED区が最も優
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く