日本の畑の約5割を占めるのが黒ボク土と呼ばれる真っ黒な土。甲子園球場のグラウンドとしておなじみの土です。一見すると肥沃にみえますが、戦後に土壌改良を施すまでは生産性が低く、農業に不向きな「やせた土」でした。私たちがふだん意識することのない足元に広がる土の歴史を探ってみましょう。
温暖化に負けない生き物たち:気候変動を生き抜くしたたかな戦略 作者:ソーア・ハンソン白揚社Amazon気候変動で地球がヤバいとは近年しきりに言われるところである。温暖化で人類の生活が苦しくなるだけならまだしも、それ意外の動植物たちは環境に翻弄されなすすべもなく絶滅してしまう──かといえばそうともいえず、意外と移動したり適応したり避難したり進化したり、様々な形で「生き延びる」動植物がいる。 本書『温暖化に負けない生き物たち』は、気候変動によって「絶滅していく動物」ではなく、むしろ急速に変化していく環境に、現在の動植物が「いかに適応してきたのか」を解き明かしていく一冊だ。現在の推定によればい驚くべきことに”すべての”生物種の25〜85%が、その分布を移動させているという。 それだけの数の生物が一斉に移動すると生態系にはどのような変化が起こり得るのか? 生態系は一種のみで成り立っているわけではな
取材ツアーに同行する人募集!動力を使わず、自分の脚力と腕力だけで旅する「グレートジャーニー」で知られる探検家・関野吉晴さんはなぜ今、旧石器時代の暮らしを再現しているのか 一人ひとりの暮らしから社会を変える仲間「greenz people」募集中!→ 森林を歩いていると、動物や虫たちの声がどこからともなく聞こえ、地面は前の季節に散ったであろういくつもの落ち葉が堆積し、ひんやりと湿っています。 森林は人の手が入らずとも、自らを管理し持続させる独自のシステムを保っているように見えます。それには、多様な植物たちが共生する地上の営みだけでなく、ミミズを代表とする土壌のさまざまな生物の営みが密接に関係しています。しかし、こうした生態系は農地ではなかなか見られないといいます。 長らく土壌の生態学を研究してきた金子信博(かねこ・のぶひろ)さんが著した『ミミズの農業改革』は、土壌に生きる小さな生き物たちの営
著者:ダン・イーガン翻訳:阿部 将大出版社:原書房装丁:単行本(288ページ)発売日:2023-07-19 ISBN-10:4562072962 ISBN-13:978-4562072965 内容紹介: 肥料として農業を支え、人類に不可欠な希少資源リン。そのリンの世界的な枯渇、争奪戦、海洋流出、食料ショックのリスクーーいま知っておかないと怖いリン問題について、ピューリッツァー賞ファイナリストが警鐘を鳴らす。 異常気象が連日ニュースで騒がれるなか、この気候変動よりも「リスクが高い」と評価されている地球環境問題が存在するのをご存じだろうか? いわゆる「リン問題」だ。今や肥料としても欠かせない元素のリンが、人類による濫用のせいで枯渇しかけ、いっぽうで海や川に垂れ流すことで水質汚染や健康被害の原因にもなっているという。世界は過去どのようにリンと向き合ってきたのか、近い将来、食糧危機を回避するには何
招かれた天敵――生物多様性が生んだ夢と罠 作者:千葉聡みすず書房Amazon 本書は進化生物学者千葉聡による天敵を利用した生物的防除の歴史を扱う大作.千葉は「歌うカタツムリ」でカタツムリを題材に淘汰と浮動の進化観をめぐる壮大な進化学説史を語ってくれたが,本書では生物的防除の成功と失敗の歴史を滔々と語り,そのストーリーテラーの才能をまたも披露してくれている. 序章にあたる「はじめに」では,「自然」という著しく複雑で多様な系に対して科学の手法であるモデル化で対応することの限界とリスクが指摘され,より良い解決を望むなら歴史を知ることが有益ではないかと示唆されている.本書は有害生物防除についての歴史を知るために書かれているのだ. 第1章 救世主と悪魔 冒頭はレイチェル・カーソンの「沈黙の春」から始まる. 1939年に殺虫効果が発見されたDDTは人体への危険がほとんどないと認識され,マラリア撲滅の切
この『サイレント・アース』は副題に入っているように、殺虫剤や農薬などの化学物質の危険性を訴えた「沈黙の春」の昆虫をテーマにした現代版とでもいうべき一冊だ。 著者によれば、いま世界から昆虫の数が急速に減少しつつあるという。温暖化など環境の変化もあるうえ、森林の伐採など問題は絶えないから、昆虫の数が減っていること自体に違和感はない。では、具体的に何が原因で昆虫は減っているのか? 気候変動の影響? 農薬や殺虫剤の影響がいまなお残っているのか? その全部が複合しているのか? そもそも、昆虫の数は数はあまりに多いので正確に把握されていないとよくいわれるが、数が減っているのは本当なのか──など、昆虫の現在の苦境を中心軸において、無数の問いかけを本書では扱っていくことになる。 昆虫がいなくなると何が問題なのか? 昆虫が消えてなにか問題があるのか? と思う人もいるかもしれない。蚊やゴキブリが消えたらせいせ
なぜ環境保全米をつくるのか 谷川 彩月 著 環境保全米は農薬や化学肥料に頼らないコメ。河北新報社が30年前に展開した「考えよう農薬・減らそう農薬」キャンペーンをきっかけに提唱され、宮城県内を中心に栽培を広げる運動が始まった。今年の作付面積は県内で約1万8000ヘクタール。主食用米の約3割を占めるまで…
「雨ニモマケズ・・・」で有名な宮沢賢治(1896-1933)には、実はベジタリアンとしての一面もある。賢治の死後に出版された『ビジテリアン大祭』という短編小説には、世界中から集まった「菜食信者」の祭典に、畜産組合、神学博士などが乗り込んできて菜食主義を批判し、大討論が繰り広げられる様子がコミカルに描かれている。 賢治の時代にはまだ「ビーガン」という言葉はまだなかったが、小説の中では「ビジテリアン」(「ベジタリアン」のこと)の精神を「同情派」と「予防派」の二つに分けている。「同情派」というのは、食べられる動物に対する「かあいそう」という気持ちがその根底にあり、現代でいうならば「アニマルライツ派」に当たるだろう。一方、「予防派」は、動物性食品がリウマチやガンのリスクを高めるとの考えに基づいており、こちらは現代でいうなら「健康派」といったところか。
(みずのわ出版・2200円) 化学物質が環境に与える危険性に関し、世界で初めて告発したとされるレイチェル・カーソンのベストセラー『沈黙の春』。1962年に出版されるが、3年早く、警鐘を鳴らした人物が日本にいた。奈良県五條市の開業医、梁瀬義亮(やなせぎりょう)である。 原因不明の体調不良を訴える農民を診察する中、農薬の毒性に気づき、無農薬有機農法の大切さを身をもって説いた。浄土真宗の寺院に生まれ…
歴史的事件に気象が与えた影響を探る地球温暖化の問題が大きな現代的課題となっているが、歴史的にこの問題についてどう考えたらよいのだろうか。 この点について、歴史と気候の関係を追究してきたフランスのアナール派の著者が、三十二の質問に答える形でわかりやすく記したのが『気候と人間の歴史・入門』である。 まずは気候の歴史の研究法について幾つかの方法を提示する。樹木の年輪を介してその成長から調べる年輪年代学、次に葡萄の収穫日の研究、いかにもフランス人の研究らしい指標である。一七八九年から二〇〇〇年にかけてのブルゴーニュの葡萄の収穫日とパリの気温とは相関関係があり、高気温の時の葡萄は早期熟成で、冷涼期には収穫の遅延が起きているという。日本では桜の開花期がよく使われているが。 続いて干魃(かんばつ)や降雨の時に行われる祈願祭、これはキリスト教文化圏らしいところであり、そしてよく知られているのが氷河の研究や
農業は自然と向き合っているか一見無関係に見える二冊をたまたま同時に読み、現代文明がもつ自然との向き合い方を考えた。切り口は「農業」と「国家」である。 人類は農業革命によって原始的な狩猟採集生活から脱却し文明への道を歩み始めたとされ、そこには定住生活こそ魅力的であり、それが国家を生み出したという前提がある。そこでの狩猟採集民は、「未開で、野生の、原始的な、無法の、暴力的な世界」にいるとされ、闇雲に山野を駆け回る姿で描かれる。実際は協働で堰(せき)や罠を作り、獲物を乾燥したり、更には野生種の穀草を育てるなど計画的に動いていたことがわかっている。 『反穀物の人類史』は、「種としての夜明け以来、ホモ・サピエンスは動植物種だけではなく環境全体を飼い馴らしてきた」とし、狩猟、採集、遊牧、農耕は組み合わされて「人間による自然界の再編という巨大な連続体」の上でわずかずつ滲み出してきたという見方を示す。 そ
農業における温暖化対応研究は農研機構の重要な研究課題です。 温暖化の将来影響の評価と適応策について、農研機構が取り組んできた多岐にわたる研究の成果を紹介、解説する本が出版されました。 気象と密接な関りをもって営まれる農業では、温暖化の影響はすでに顕在化しています。農研機構では、気候変動への対応を重要な課題と位置づけ、次の3つのアプローチから技術開発のための研究を行ってきました。1つ目は、将来の気候変化が農業に与える影響予測と対策オプションを準備する「影響評価研究」、2つ目は現在顕在化している問題への対策技術を開発する「適応策研究」、そして3つ目は農業分野からの温室効果ガス排出削減技術を開発する「緩和策研究」です。 このたび、農研機構が取り組んできた影響評価と適応策の研究成果をわかりやすく紹介する書籍「地球温暖化と日本の農業―気温上昇によって私たちの食べ物が変わる!?」(農研機構編著)が成山
エシュルン出版が、出版社としては異例の農業に着手。耕作放棄地にハーブを植え、『イスルイン物語のミントティー』を発売。 エシュルン出版では、SDGs(持続可能な社会をつくる)ための取組の一環として、耕作放棄地にハーブを植え、長編聖書ファンタジー小説「イスルイン物語」にちなんだミントティーを製造販売します。 持続可能な開発目標 SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標」です。貧困削減などに関わる開発分野の目標と、持続可能な世界を目指す環境・社会分野の目標を統合した、包括的な内容となっており、持続可能な世界を実現するための17の目標と169の具体策から構成されています。 荒野を見下ろすエルフの乙女 エシュルン出版が手がける長編聖書ファンタジー小説「イスルイン物語」では、要所要所で
ちまたではNASA(アメリカ航空宇宙局)の作成した火星再現“土”で農業に成功したというニュースが話題になった。もし地球がだめになった時には火星で暮らすことができる。宇宙飛行士という仕事も格好いい。宇宙には夢やロマン、希望があふれている。 これに対して、あえて「地球の土も頑張っている」と対抗するのが拙著『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』の目的だ。 大見得を切っておいて言うのもなんだが、土は地味だ。その研究者の扱いも、宇宙飛行士とは雲泥(宙泥?)の差がある。空港で土とスコップの機内持ち込みを謝絶されて肩を落として落ち込んでいる大人を見たことがあるだろうか。業務として土を掘っているにもかかわらず通報され、職務質問を受けることすらある。やましいところは一切なく、土を掘るのを仕事にしている。 100億人を養う土壌を求めている 読者諸賢には何を好き好んで土なんて掘っているのかと思われ
土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話 作者: デイビッド・モントゴメリー,片岡夏実出版社/メーカー: 築地書館発売日: 2018/08/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『銃・病原菌・鉄』みたいな書名だが中身は土と農業の話である。著者のデイビッド・モンゴメリーは、『土の文明史』で文明の寿命と土壌の豊穣さが密接に関係していることを提示し、続く『土と内臓』では、微生物の存在が土の豊穣さと関係している事実を、腸内細菌が人間の体調を左右する昨今定説化してきた見方の類似点を通して語り、土三部作の完結篇である本書では、ついに”これから我々の文明は土をどう扱っていけばいいのか”を語ることで、結論篇といえる一冊に仕上がっている。 問題提起と結論について その問題提起と結論はシンプルなものだ。我々は土を耕す化学肥料をバシバシ使う慣行農法によって土壌は年々少しずつ劣化しつつある。『二〇一
本書はデイビッド・モントゴメリー著“Growing a Revolution”の全訳であり、『土の文明史』『土と内臓』(ともに築地書館)に続く三部作の完結編である。三作はいずれも、人間社会とそれを包括する文明と環境を、「土」という共通の切り口で解読したものだ。 一作目『土の文明史』では、世界の文明の盛衰と土壌の関係を。世界中のさまざまな時代と地域を検証した著者は、土壌が文明の寿命を決定し、土を使い果たしたとき文明は滅亡するという結論に達した。現代文明においても、農業生産性を上げるために化学肥料や農薬、機械力を集中的に投入するほど、土壌は疲弊し、やがては生産に適さなくなる。しかし化学製品の投入量を抑え、土壌肥沃度を高めながら、今後の人口増加に対処して食糧を増産するような方向へと転換することは可能なのだろうか。われわれの文明が滅亡を回避するための道として、土の扱いを変えることを提唱しながらも、
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