スイスの動物保護法の厳しさは世界有数だ。EUと比較すると、農用動物の飼育面積は広く、生きた動物の輸送も短時間に定められている。養鶏のバタリー飼育、フォアグラ、カエルの足の切断、無麻酔下の子豚の去勢などはすべて禁止。農場は小規模で、有機・認証農場の密度が高い。そして、環境にやさしい農法や動物にやさしい飼育法には多額の補助金が支給されている。 © Marcel Bieri EU法はスイスの法律ほど厳しくないばかりか、その誘導のしかたはときに逆効果を招くこともある。例えば、EU圏の農業従事者が土地の一部を再自然化すると、耕作面積が減少して補助金の減額につながることもある。 ドイツ人エコノミストで緑の党の欧州議会議員でもあるスヴェン・ギーゴールト氏は、「根本的な問題は、ヨーロッパの助成金が面積単位で支給されていることだ」と話す。「EUの補助金には、環境保護や動物保護に関する厳しい条件が付されていな