私たちの身の回りにある「モノ」たちのできあがる姿をビデオで追った「メーキング・ムービー」。最新の科学技術と伝統の技によって「モノ」たちが作り上げられる過程を映像でつづります。原料から製品に変わっていく驚きの映像をお楽しみください。
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レビュー 「最も暑い夏」の影響でコメや野菜、果実に高温被害 異常気象の恒常化で急がれる適応策と支援 2023.11.16 内城喜貴 / 科学ジャーナリスト、共同通信客員論説委員 日本列島は11月中旬になると上旬までの猛暑から一転、各地で今季一番の寒さとなった。四季のうち春や秋がなくなる「二季」になったかのようだ。今年の7~9月の月平均気温は3カ月連続して統計史上最高値を記録し「最も暑い夏」になった。その猛暑があまりに強烈だっただけに忘れそうだが、1月には「10年に1度」の強い寒波が日本列島を襲っている。 日本だけではない。地球規模の気候変動により、世界各地で熱波の一方で寒波が、豪雨の一方で干ばつが観測されている。気象学者はこうした極端な気象は今後国内外で頻発し「恒常化」すると指摘している。 日本の「最も暑い夏」がコメや野菜、果実の品質や収穫量に深刻な影響を与えている。極端な暑さや寒さが恒常
野菜の葉に感染して収量を減らす病原菌「うどんこ病」の感染拡大を菌に寄生するカビ(菌寄生菌)で抑制できることを、近畿大学のグループが明らかにした。環境へ負荷がかかる化学農薬(殺菌剤)に依存しない新たなうどんこ病の防除対策として、3年後をめどに実用化への道筋をつけたい考えだ。 うどんこ病はカビの一種で、農作物を中心に雑草や樹木など植物の葉に感染する。うどんの粉を振りかけたように白い斑点が発生することから名付けられた。葉から養分をとって葉を枯らしてしまうことから、植物が光合成を行うことができなくなり、農作物の収量を3割ほど減らすこともあると言われる。 近畿大学農学部の野々村照雄教授(植物病理学)らは、うどんこ病菌に寄生する菌寄生菌に注目。菌寄生菌がメロンやカボチャ、キュウリ、ズッキーニなどウリ科植物にのみ感染するメロンうどんこ病の感染拡大を抑制するかどうかを調べた。 実験では、まず、メロンの苗を
ニュース エキノコックスに糸状菌の生理活性物質が有効、酸素環境によらず 長崎大など 2023.05.30 主に北海道で発症するエキノコックス症の原因となる寄生虫エキノコックスに対して、糸状菌が作る生理活性物質の「アスコフラノン」が有効であることを、長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科の遠海(えんかい)重裕客員研究員(小児科学・感染症学)らの研究グループが発見した。酸素に富んだ(好気的)環境でも酸素が乏しい(嫌気的)環境でも、短期間で作用が見られた。新薬開発の手がかりができたとみて、今後、マウスでの動物実験に移るという。 エキノコックスは野生のキツネの腸内に寄生する。エキノコックス症には数種類あることが確認されているが、研究グループは特に複雑な形態のこぶを作り、国内での感染者が確認されている「多包虫エキノコックス」に限定して研究を進めた。エキノコックスが細胞に入り込むと、好気的な環
サイエンスクリップ 「3日取らないと命の危険」水が体を出入りする量の計算式、初めて開発 2023.01.27 青松香里 / JST「科学と社会」推進部 水は、私たちの体に欠かせない。ごく当たり前のことだが、体を日々出入りする量は、これまで科学的に明らかにされてはいなかったそうだ。その量を推定する計算式を、医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN=ニビオン)などの国際研究グループが初めて開発した。体や環境のデータを基に、1日に失う水分量の目安を算出できるという。人生のさまざまな時期や災害時などに必要な量を予測できれば、健康管理に役立ちそうだ。 「重水素」手がかりに大規模調査 私たちの体のおよそ半分は水。一般的な成人男性で体の53%、成人女性で45%、乳児では60%を占めるという。この量を維持するため、私たちは飲んだり、食事や呼吸をしたりして水分を取る。ここでストック、つまり体に含まれる水分
サイエンスウィンドウ 土壌を改善し、農業基盤を下支え【自然と向き合うワカモノたち】 2022.10.19 特集「自然に向き合うワカモノたち」では、身近な自然に向き合い、主体的に活動している高等学校や高等専門学校の取り組みにフォーカスする。初回は東日本大震災の塩害対策をきっかけに、土壌改善に注目して農業基盤の下支えを目指すようになった青森県立名久井農業高等学校を紹介する。環境システム科という全国でも珍しい学科を設け、探求学習を推進。数々のコンテストやアワードで好結果を残しているが、生徒たちはどのようにして研究に取り組んでいるのだろう。 世界的な課題解決に結びつく技術も 青森県の南東部にある三戸郡南部町は、リンゴやモモなど果樹の栽培が盛んな町。県立名久井農業高等学校はその南部町にある唯一の高校で、2013年に設立された環境システム科は、工業技術を利用して世界の農業が抱える課題の解決を目指すユニ
竜脚類の恐竜が植物を食べていたことを、歯の化石の傷を立体的に分析して裏付けた。早稲田大学などの研究グループが発表した。これまでは歯や顎の形から推測されてきたが、岩手県久慈市で見つかった化石から、初めて客観的な証拠を得たという。食べ物で歯が摩耗した痕跡を3次元で調べる手法を、恐竜に初適用。恐竜の食べ物の物性を客観的に示したのは、世界初という。 竜脚類は首と尾が非常に長く四本足で歩く恐竜で、植物食と推定されてきた。ただ現在、似た形の動物がいないなどの事情で、決め手を欠いていた。 そこで研究グループは、食べ物により歯が擦れ、歯に微小な摩耗痕ができることに着目した。久慈市の中生代白亜紀の約9000万年前の地層から見つかった、竜脚類の歯の化石8本の先端の摩耗痕を、顕微鏡を使って立体的に測定。得られたデータを卵、肉、昆虫、植物、藻類、果実などさまざまな物を食べる現生のトカゲのものと比べ、食べ物の硬さを
サイエンスクリップ 生き物の形、遺伝子によらず幾何学的に決まる仕組みを発見 金沢大など 2022.05.09 草下健夫 / サイエンスポータル編集部 昆虫の目の多くは六角形の小さなレンズ「個眼」がびっしり集まった複眼だが、どうして六角形になるのだろう。そういえばハチの巣も、六角形の穴が集まっている。こうした自然界が織りなす図形の不思議に斬り込み、2つの単純な力で幾何学的に決まる仕組みがあることが、ハエの目を使った実験で分かった。金沢大学などの研究グループが明らかにした。遺伝子が関わっていない面白さがあるという。 六角形に四角形…どうして 生活を見渡すと、お風呂のタイル、ブロック塀、ボードゲームの升目などなど、同じ形が敷き詰められたパターンはわりと四角形が目につく。これに対し生物界では、冒頭に挙げたように六角形が多いという。この理由は、六辺の長さの合計が短くしかも構造が強くなるため、低コスト
世界の海鳥の52%にプラスチック添加剤の汚染が広がっていることが分かった、と東京農工大学を中心とする国際共同研究グループが発表した。両極域、赤道域を含む世界の16地域の海鳥分析の結果、添加剤として加えられる化学物質が検出され、汚染が地球規模である実態が初めて明らかになった。 東京農工大学大学院農学研究院物質循環環境科学部門の高田秀重教授と水川薫子助教らを中心に、国内外合わせて18の大学・研究機関の研究者が参加した研究グループが世界16地域で共同調査を実施。32種の海鳥計145羽について、尾羽の付け根にある器官から分泌される「尾腺ワックス」という脂肪を分析した。海鳥はこの脂肪を羽根に塗布することで羽根に撥水性を持たせている。 分析の結果、145羽中76羽、52%から、プラスチックを燃えにくくしたり、紫外線による劣化を防いだりする添加剤が検出された。特に、ハワイのシロハラミズナギドリと西オース
森林の送電線の下には周囲より多くのチョウがいて、送電線が種の保全に一役買っていることが分かった、と東京農工大学などの国際研究グループが発表した。樹木が送電線に接触しないよう伐採が行われて草地が保たれ、さまざまな植物群落が存在。これにより、チョウの幼虫が食べる葉や成虫が蜜を吸う花が豊富に存在するためとみられる。 日本では昔から野焼き、薪刈りや柴刈りといった活動で草地が保たれ、そこにさまざまな生物が暮らしてきた。しかし戦後は自然資源の利用が低下してこうした草地が減少。林業の低迷や樹木の伐採を遅らせる手法の展開により、草地の生物がいる幼齢の人工林も減る傾向にある。 一方、国内には9万キロに及ぶ送電線があり、このうち樹木の接触を防ぐために伐採が定期的に行われている場所の周辺では、さまざまな状態の植物群落が連続的に存在する。研究グループはこれに着目し、チョウの生息場所としての送電線の下の評価に臨んだ
映像を見る時に視覚や聴覚、食事する時に味覚や嗅覚などと、脳は異なる感覚を併用し、影響させ合いながら情報を処理している。これは「クロスモーダル現象」と呼ばれている。脳の情報処理はまだまだ謎が多く、ブラックボックスに近い。さまざまな感覚の刺激の入力から何らかの応答の出力に至るプロセスの詳しい解明は、大きな研究課題だ。 嗅覚が関わるクロスモーダル現象の研究はどうだろう。「『みそ汁の香りで故郷を思い出した』とか『匂いであの頃を思い出した、懐かしい気持ちになった』などと、記憶や感情に影響を与えることは多く研究されてきた」と説明するのは、情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター主任研究員の對馬淑亮(つしま・よしあき)さん(認知科学)。記憶や感情は脳の情報処理プロセスでは、出力に近い段階の働きだという。 嗅覚の実験は香りの制御が難しいことや、感性を評価しにくいことなどから従
サイエンスクリップ 生態系がコントロール? ヤクシカ、定説に反し自然に減っていた 2021.06.18 草下健夫 / サイエンスポータル編集部 屋久島(鹿児島県)に住むニホンジカの亜種のヤクシカが、駆除されなくても自然に減り続けている、という調査結果を北海道大学などの研究グループが明らかにした。「シカは繁殖力が強く、放っておけば増える一方」との従来の見方とは異なり、生態系がコントロールしている可能性があるという。農作物を荒らすなど、深刻な被害を受けて全国的にニホンジカの駆除が進む中、生息数の管理のあり方に重要なヒントを与えるデータとなった。 日本文化を育んだ動物、今は… 「夕されば小倉の山に臥(ふ)す鹿の今夜(こよい)は鳴かず寝(い)ねにけらしも」(雄略天皇、万葉集) 「奥山にもみぢ踏みわけ鳴く鹿のこえ聞く時ぞ秋はかなしき」(詠み人しらず、古今和歌集) シカはこのように古来、和歌に多く描か
概要 過疎化の進む農村の活性化を図るため、インターネット、無線LAN、センシング技術などのIT(情報技術)を利用した農業を研究している農学博士 平藤 雅之さん。農林水産業・環境分野では、現場情報をリアルタイムに入手することが重要な課題であり、また計測を屋外で行うため情報伝送を無線通信で行う必要があります。この研究で開発されたのが圃場モニタリングロボット、「フィールドサーバ」。この「フィールドサーバ」の開発背景、実証テスト、また宇宙ステーションの中で植物が育てられる宇宙農園でのシミュレーションを通して、平藤さんの人物像と平藤さんのめざす人間と植物が快適な環境の中で共生できる空間の研究を紹介します。 出演者名・所属機関名および協力機関名 平藤 雅之(独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター),木村 久美((株)メリディアン プロモーション),独立行政法人
レビュー 温暖化対策と食料対策の両立には土地利用が鍵 干ばつなどで穀物価格、最大23%上昇とIPCC 2019.09.11 内城喜貴 / サイエンスポータル編集長、共同通信社客員論説委員 地球温暖化に伴う干ばつなどの影響により2050年には穀物価格が最大23%上がる恐れがある—。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測をまとめた特別報告書を8月初旬に公表した。温暖化により食料不足や飢餓のリスクが高まることを具体的なデータで示したとして国内外で注目されている。 これまでIPCCをはじめとしてさまざまな国際機関の報告書が、温暖化による異常気象は食料生産に打撃を与える一方、無計画な森林伐採や農地開拓は温暖化を加速させると指摘してきた。今回の特別報告書は温暖化対策を考える上で世界各国の土地利用の在り方が極めて大切であることを物語っている。 今回公表された特別報告書のタイトルはずばり「C
アズマヒキガエルの卵は、晩春の池で孵化(ふか)する。そこにはすでに北海道在来のエゾサンショウウオの幼生や、大きくなったエゾアカガエルのオタマジャクシがいる。アズマヒキガエルのオタマジャクシは小さくて動きが鈍いので、エゾサンショウウオやエゾアカガエルの子どもたちのえさになる。 ヒキガエルは毒をもっている。アズマヒキガエルのオタマジャクシを食べたエゾアカガエルやエゾサンショウウオの子どもたちは、大丈夫なのだろうか。 それが、まったく大丈夫ではなかった。北海道大学の修士課程で研究していたエバンゲリア・カジラさん、岸田治(きしだ おさむ)准教授が水槽で実験したところ、外来のアズマヒキガエルのオタマジャクシを食べたエゾアカガエル、エゾサンショウウオの子どもは、その多くが死んでしまったのだ。とくにエゾアカガエルの致死率が高かった。 カジラさんらは、野外の池で3種類が出合うときのそれぞれの体の大きさを考
ニュース 絶滅が心配なナガスクジラの数増え、マウンテンゴリラも回復傾向 IUCNのレッドリスト最新版 2018.11.19 絶滅危惧種のナガスクジラの生息数が増え、マウンテンゴリラも回復傾向にある、と国際自然保護連合(IUCN)がこのほど発表した。IUCNは絶滅危惧種を保全するための行動の成果が出たことを評価しつつ今後も保全への努力が重要、としている。 IUCNの分類による絶滅危惧種は、「深刻な危機」(CR、ⅠA類)、「危機」(EN、ⅠB類)、「危急」(VU、Ⅱ類)に細分化されている。IUCNが公表した「レッドリスト」最新版によると、日本近海をはじめ世界の海に広く生息するナガスクジラの個体数は、1970年代と比べると商業捕鯨が国際的に禁じられた効果が出てほぼ倍増し、推定約10万頭に達した。このため、引き続き絶滅が心配されるものの、今回「危機」から「危急」に、また西部太平洋の海域に生息するコ
あの小さな日本海は、世界でも珍しい「孤高の海」だ。対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡、間宮海峡という狭いすき間で、大きな太平洋、東シナ海、オホーツク海とつながっているが、海峡の水深はせいぜい百数十メートルほど。最深部の水深は、富士山の高さとほぼ同じ約3800メートルなので、つまり、ほとんど出入り口のない器に塩水がたまったような海なのだ。 それなら湖のようなものかといえば、そうではない。まず、海流がある。黒潮から分かれた南からの海流が、対馬海流となって対馬海峡から流れ込んできている。大陸沿いに北から南に流れるリマン海流もある。外洋との海水の行き来がほとんどないので、水深300メートルより深いところには「日本海固有水」と名付けられた海水がたまっている。こういうたまり水は、生物の死がいなどが分解されるときに酸素を消費して酸欠状態になり、死の海になるところだが、日本海はそうはならず、豊かな海の恵みをもた
サイエンスクリップ 木の遺伝的な多様性が、樹上の生態系の多様性をつくっている 2018.03.23 腰高直樹 / サイエンスポータル編集部 人間は皆同じ種だが、身長や顔つき、体質などは一人一人違う。これは同じ人間という種でも、少しずつ遺伝的な違いがあることが大きく関係しているため。木も同様だ。同種の木でも遺伝的には少しずつ違いがある。人が見たり触ったりしても差が分からないだけで、同種の木でも1つ1つの木には遺伝的な違いによる個性がある。この遺伝的な違いが、木に集まる虫の種類や数に強く影響を与えているという。北海道大学大学院環境科学院の博士課程・鍵谷進乃介(かぎや しんのすけ)さんと同大学准教授の内海俊介(うつみ しゅんすけ)さんたちの研究グループがこのほど明らかにした。 遺伝的な違いが生き物同士の関わりに影響を与えている 木には虫がたくさん集まる。虫取り網で森の中の立木の枝葉をガサガサとす
インタビュー 「科学技術の成果を産学官連携で社会実装する 第5期科学技術基本計画の目指すもの」(1/2)(久間和生 氏 / 内閣府 総合科学技術・イノベーション会議 議員) 2016.05.13 久間和生 氏 / 内閣府 総合科学技術・イノベーション会議 議員 昨年12月に総合科学技術・イノベーション会議で了承された「第5期科学技術基本計画」が、1月22日、閣議決定された。この計画は今年の4月から5年間にわたり、日本の科学技術の方向性を示すものである。その要点を、内閣府総合科学技術・イノベーション会議議員久間和生氏に伺った。 ―これまでの4期20年の科学技術基本計画の成果と、出てきた課題についてお話し下さい。 1995年に科学技術基本法ができて、科学技術の重要性を国としても認識し、20年前に科学技術基本計画がスタートしました。この間に科学技術に対する期待は大きく変わっています。20年前は、
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