コメや野菜などの県オリジナル品種の安定生産やブランド力強化を目指す新たな条例案が二月定例県議会の議決を経て四月に施行される見通しだ。収量や品質に優れた種苗を絶やすことなく供給する体制を維持していくとともに新品種開発を進め、農業振興につなげなければならない。 県内の農家戸数は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故前の二〇一〇(平成二十二)年に約九万六千六百戸だったが、二〇二〇年には約六万二千七百戸に減った。後継者不足など全国共通の要因もあるが、県農業振興課は「原発事故による住民の避難や風評被害などで急激に減少した」と分析している。 離農を防ぎ、新規就農者を増やすためには優良な種苗の安定的な生産とブランド化による収益の安定確保が欠かせない。条例案は、高級米「福、笑い」をはじめイチゴの「ふくはる香」など四十八品種に上る県オリジナル品種の収量増を目指している。同時に農林産品のブランド化を図り産地間
山木屋産のイチゴを手にする谷口代表 福島県川俣町山木屋地区の農園「Smile farm(スマイルファーム)」は今冬、イチゴの出荷を始めた。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故発生後、同地区でのイチゴ出荷は初めて。ハウス内では収穫体験ができ、谷口豪樹代表(34)は「山木屋に足を運ぶきっかけとなる場所にしたい」と前を見据えている。 ハウスでは「よつぼし」「紅ほっぺ」「とちおとめ」の3品種、合わせて7500株程度を栽培している。昨年4月から準備を進め、同10月に定植をした。今季は計約4トンの生産を見込んでいる。 現在は復興拠点商業施設「とんやの郷」と農園内で、数量限定で販売している。購入者からは「甘くておいしい」と評判を呼んでいる。価格は1パック540円(税込み)。 収穫体験は1人1300円。受け入れ日や時間は要相談。問い合わせは同農園へ。 ◇ ◇ 同農園ではイチゴ収穫体験に加え、アンスリウ
農業用ハウスに設置した地中熱の装置に期待を寄せる中津社長 福島県の広野町振興公社は産業技術総合研究所再生可能エネルギー研究センター(郡山市)などと連携し、町特産のバナナ栽培に地中熱を活用する取り組みを始めた。ハウスの暖房費の削減を図りつつ、収穫量の増加につなげる試み。農業への地中熱の導入は全国的に珍しく、県内外からの視察の申し込みが相次いでいる。 町振興公社は2018(平成30)年に町内の二ツ沼総合公園内でバナナ栽培を始め、現在、3棟のハウスで約210株を育てている。冬期間はハウス内の温度維持に1シーズン当たり約400万円が必要なため、燃料費削減を図ろうと地中熱の導入準備を進めてきた。 昨年12月、ハウス1棟の半分の区画で地中熱による暖房を試験的に開始した。深さ約50メートルの穴を掘り、3タイプの熱交換器を設置。室内の吹き出し口から出る約40度の温風を活用し、室温をバナナ栽培の適温である2
女優松岡茉優(まゆ)さん起用、新たなPR動画4本を制作 福島県が29日から公開 2021/11/30 10:01 新たなPR動画を発表する内堀知事 福島県は「ふくしま知らなかった大使」に任命している女優の松岡茉優(まゆ)さんを起用した新たなPR動画4本を制作した。29日から県の特設サイトで4週にわたって毎週月曜日に1本ずつ公開している。 新たな動画は「ふくしま 知らなかった大使 現地視察篇Ⅴ~Ⅷ」の4本。全国新酒鑑評会の金賞受賞数で8回連続日本一に輝いている県産日本酒の魅力、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を進めている浪江町、JR只見線沿線地域の絶景などをそれぞれ4、5分程度でまとめている。 内堀雅雄知事が29日の定例記者会見で発表し、「松岡さん自身の福島を知る瞬間の素直な気持ちが表現されている。関係人口や交流人口を増やすことにつながると期待している」と述べた。 検索サイト
大熊町の復興拠点にある水田で稲刈りする根本会長(左から2人目) 福島県大熊町農業委員会と町は29日、東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)となっている熊地区で試験栽培のコメを刈り取った。 町は昨年から復興拠点の水田でコメの試験栽培を行っている。昨年は下野上地区で実施し、今年は場所を変え、復興拠点の熊地区の水田3アールで行った。 この日は根本友子会長や町職員ら合わせて5人が作業し、検査に必要な約1キロのコシヒカリを鎌で刈り取った。県の検査機関に玄米を送り、放射性セシウム濃度を調べ、来年から出荷が可能な実証栽培に移行する予定。 根本会長はイネを手に「春の田植えの時は土壌の状態から、少し心配したが、しっかり実ってうれしい。安全な米が取れることを証明し、町民が安心して帰還できるよう取り組んでいく」と語った。
農産物の安全認証制度「GAP」の取得や更新に関し国の予算が減額されるのではとの懸念が福島県内の農業関係者に広がっている。GAP取得推進は東京五輪・パラリンピックでの食材提供を通じ、東京電力福島第一原発事故に伴う風評を払拭(ふっしょく)する狙いで取り組んできたが、大会が閉幕したためだ。現状でも国からの予算は減少傾向にある。現行の推進事業が来年度以降も続くかは不透明で、生産者からは「風評払拭にGAPは不可欠だが、国の支援がなければ取得や更新は厳しくなる」との声が出ている。 国費を財源とした福島県のGAP関連事業費と、GAP取得件数の推移は【グラフ】の通り。福島県は原発事故からの農業復興の観点から、GAP関連事業費が他の都道府県と比べて特に手厚く配分されている。ただ、取得件数が年々増加しているのに対し、事業費はここ数年で減少に転じている。 国は新年度予算の概算要求にGAP関連事業費を盛り込んだが
【みどりの日企画】脱炭素と農業復興「くん炭」で挑む 川俣の経営者団体 山木屋の畑で野菜実証栽培 2021/05/04 08:03 農業復興や脱炭素社会実現を目指す菅野理事長=4月 川俣町の経営者有志でつくる一般社団法人次世代産業創出構想は町内山木屋地区の畑で、コメのもみ殻を燻(いぶ)し焼いて炭化させた「くん炭」を畑の土に混ぜ込む取り組みをスタートさせた。伝統的な農業の手法で、地力回復と二酸化炭素の発生抑制につなげる狙い。被災地から環境に配慮した安全安心な農業を発信する。 今回くん炭を混ぜ込んだ畑は約一アール。トマト、ピーマン、ナス、キュウリを実証栽培し生育状況を確認している。土壌の一部には堆肥も入れた。 土壌に炭を混ぜ込む手法は、一六九七(元禄十)年発刊で日本の代表的農書とされる「農業全書」にも記載されている。土壌の通気性や保水性を確保し病害虫の発生抑制、収穫量安定などの効果があるが、化学
サツマイモを収穫するふたば未来学園中の生徒 東京電力福島第一原発事故からの農業再生が進む楢葉町で、主力作物に位置付けているサツマイモの収穫が最盛期を迎えている。十四日は町内で大規模栽培を行う福島しろはとファームの収穫祭が開かれ、町民らが芋掘りを楽しんだ。 収穫祭は九月に完成したサツマイモ貯蔵施設で開かれた。町民ら約二百人が来場し、熱々の焼き芋などを味わった。施設近くの畑で行われたサツマイモの収穫体験では、広野町のふたば未来学園中の生徒らが大きく実った紅まさりを掘り、実りの秋を実感していた。 今年度、町内のサツマイモの栽培面積は約四十二ヘクタール。来年度は約五十ヘクタールに拡大し、大規模営農モデルの確立を目指す。 その他のニュース
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