丸山眞男の講義録はこれまで、七冊刊行されております(第一期、一九九八~二〇〇〇年)。一九四〇年代が二冊、六〇年代が五冊です。今回の『別冊』全二巻は、このあいだの時期にあたる五〇年代後半の講義録ですが、まずは前回の編集委員も務められたおふたりに、第一期を振り返りつつ、お話しいただけますか。 今回の刊行の辞に詳しく記してありますので、ごく簡単に流れだけを説明します。一九九六年八月一五日に丸山さんが亡くなられるずっと前から、東京大学出版会とのあいだで、日本政治思想史に関わる講義録を刊行する約束がありました。『丸山眞男集』第二巻の月報に、同出版会の元編集者・石井和夫さんがそのことを書かれています。『日本政治思想史研究』につづく、丸山さんの二冊目の本として予定されていたとのことです。しかし、結局実現されず、丸山さんは亡くなられた。ただ、亡くなる前の年に、出版会の門倉弘さん、竹中英俊さんと私の三人で、