江原由美子・大嶽秀夫「フェミニズム政治学の可能性――権力、制度、アジェンダ・セッティング」『レヴァイアサン』8号、1991年春。 シリーズ・大嶽秀夫を読む(64)。 この対談は、特集「フェミニズムと社会運動」に収録されたものである。なお同特集は、日本の政治学専門誌としては、初めてフェミニズムを取り上げたものである。 大嶽は、エスノメソドロジーに注目した、きわめて例外的な政治学者の一人である。社会学においてさえ「秘密結社」*と呼ばれるエスノメソドロジーは、政治学においては、なおさら存在感が薄く、その政治学における寄与は十分検討されてはいない。こうした中で、90年代前半という早い時期にこれに着目した大嶽は、現在からみても先駆的である。 大嶽のエスノメソドロジーに対する関心は強く、それも90年前後に急速に強まっている。これを示すものとして、次のエピソードを紹介したい。87年に大嶽は、神島二郎の民
今回扱う論文は、Phillip Pettitという人の 政治哲学における分析哲学を概説した論文。大判のハンドブックに収められている一本。でも使ったのは大学の契約データベースにあったOnlineバージョンなので、ページ数は参考までに。 A Companion to Contemporary Political Philosophy Ed. by Robert E. Goodin, Phillip Pettit and Thomas Pogge, (Online) では要約。 まず、ごく簡単に分析哲学を説明する。分析哲学は啓蒙の主流の伝統を受け継ぐ哲学だ。代表的には、ヒューム、カント、ベンサム、フレーゲ、ミル、ラッセルなどがあげられる。この人達に共通する特徴、つまりは分析哲学の特徴とは次のようなものだ。 ・人間の知識とは独立の現実があり、人間はその一部である。 ・理性と(体系的な)方法(とくに
オーストリアの新聞でのインタビュー(http://derstandard.at/2000015524661/Das-System-der-Mitte-kollabiert)。 政治学者シャンタル・ムフ「右派ポピュリストが成功したのは、保守政治と社会民主主義政治が融合したからだ」 インタビュアー(イ):中道右派政党と中道左派政党の区別がなくなることを警告されていますね。 ムフ:私はそれをポスト政治的状況と呼んでいます。今日のヨーロッパ社会で優勢なものです。 イ:いつからそれは優勢になったのですか。 ムフ:この傾向は、イギリスでニュー・レイバーによって始められました。理論は社会学者のアンソニー・ギデンズから出てきました。そしてトニー・ブレアがそれを作り替えたのです。考え方は、共産主義の崩壊のあと、対抗勢力はもはやいなくなり、リベラルな資本主義のオルタナティブもなくなった、というものです。 イ:
学術論文ではなくエッセイを書いているにすぎない。 かつて政治思想研究には、このような揶揄が向けられた。こうした理解が消えたわけではない。偉大とされる思想家が遺したテクストに依りかかって、規範的な主張を現代に向けて語っているにすぎない、というのである。 もちろん、ある学問分野の研究者がことごとく知的に怠惰で愚かである、ということはほとんどありえない。少なくない政治思想研究者は、そうした揶揄を真摯に受けとめて自省を重ねてきた。この四半世紀の日本におけるこの学問分野の急速な展開と変貌は、その産物である。 学問でないという批判に応えるため、それまで「政治思想史」という名称で括られて表現されてきた政治思想研究は、「政治思想史」から「政治理論」が別のディシプリンとして分離するかたちで、専門化の要請に応えようとしてきた。このことは、専門書や大学講義名の変化を辿ればあとづけられよう。歴史研究と理論研究のこ
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