音楽をはげしく求めたことがない。音楽に対して、私はいつも受動的だった。ときどき周囲の誰かが音楽を選んで、カセットテープや、MDや、CD-Rに入れて、私にくれた。私はそこから気持ちよく聴けるものを選んでTSUTAYAに行き、同じ人が出しているものを借りた。どうかすると何日も音楽を聴かないこともある。覚えているかぎり以前から、私はそんなふうだった。 そういう話をすると、まじすかと彼は言った。まじ、と私はこたえた。彼は笑って、今の似合わないですと言った。私は少し反省した。若者たちと話すと、くだけたことばを使いたくなってしまう。珍しいことばを使えるのがうれしいのだ。まじというのは実のところ、私が十代のころからある表現だけれども。 驚きあきれました、と彼は言った。あさまし、と私は訳した。あれっていいことばですよね、復活させればいいのに、と彼は言った。それからふうとため息をつき、改めてお説教の口調をつ