特派員リポート 渡辺淳基(ドバイ支局長) 過激派組織「イスラム国」(IS)が支配する地域で産出される石油は、誰が買っているのか。ISが2014年にイラクとシリアの広い範囲で台頭した後、関係国のあいだで常に議論されてきたテーマだ。米欧はシリアのアサド政権が「買い手」だと指摘する一方、ロシアなどは「石油は隣国トルコに運ばれている」と訴える。ただ、徐々に分かってきたのは、IS支配地域で生産された石油が地元住民の手で運ばれ、消費されているらしいという実態だ。 シリアでは内戦が激化した13年ごろ、油田が集中する東部デリゾール周辺をISの前身組織が占拠した。15年には中部ホムス近くの油田もISが制圧した。石油生産量は一時、1日8万バレルに達すると推定された。昨年秋以降は米軍などの空爆強化による設備の破損や、技術者不足により、日量4万バレル弱に半減したとみられている。 このシリア原油について「トル… こ