中村憲剛。27歳。 今年のJ1優勝候補、川崎フロンターレの司令塔にして、日本代表のゲームメーカーである。 子供の頃から身体が小さく華奢(きゃしゃ)で、いつも大きな選手に当たり負けをしていた彼は、大学卒業まで目立った戦績も記録も残せず、エリートとはほど遠い『日陰の道』を歩き続けた。 だが、そんな彼のことを、僕らはいま“ファンタジスタ”と呼んでいる。ピッチの上では『0.1秒』の無駄をはぶき、剛胆にして正確無比なパスでファンを熱狂させる。 雑草だった男は、いかにして“ファンタジスタ”へと成長したのか? 日本代表を勝利へと導く知性のキーマンに、ロングインタビュー。(後半) (構成・文/森沢明夫) ――中村憲剛がサッカーをはじめたのは6歳=小学校1年生のころだった。当時は全国でベスト16に入るほどレベルの高いクラブチームに所属していたという。しかし、小学校を卒業して公立中学に入学すると……。 中学は