音楽プロデューサーでありモータージャーナリストでもある松任谷正隆さん。無類のクルマ好きとして知られる松任谷さんのクルマとの深い関わりをエッセーでお届けします。今月のエピソードは、松任谷さんが乗ったタクシーの車内での会話について。 今は会社のスタッフに送迎してもらうことが多くなったが、ちょっと前まではある特定のタクシー会社のクルマを利用することが多かった。我が家は共稼ぎだから、そして彼女の方は免許を持っていないから、多いときはその月の請求書を見てびっくり、なんてことがざらにあった。 タクシーの利点は、それが職業だから気楽に頼めるということ、それにドアtoドアであること。欠点はドライバーによって運転がずいぶん違うこと。こちらが気を使ったりして疲れること、などなど。タクシーは利用しているんだ、という気持ちと、運転していただいているんだ、という気持ちが半々にあるからなかなか複雑である。 つまり、悪