東京国立博物館の所蔵で1614(慶長19)年の大坂冬の陣の様子を描いた「大坂冬の陣図屛風(びょうぶ)」を、当時の色で復元する取り組みを凸版印刷が始めた。この屛風は江戸時代の模写と考えられ、原本は行方不明だ。色落ちもあるが、当時の色付けの指示が文字で直接書かれているのを手がかりに、現在のデジタル技術で忠実に再現する。 同社が3日、発表した。徳川美術館(名古屋市)や東京芸術大学、城郭考古学が専門の千田嘉博・奈良大学教授の監修で復元を進める。来年3月末までに左右が対になった「六曲一双」と呼ばれる形(高さ約1・8メートル、幅計約7・2メートル)に仕立てる予定だ。 屛風に書かれた指示を解読し、その指示の文字や残っている色をいったんデジタル技術で消したうえで彩色し、産業用プリンターで印刷。その後、金箔(きんぱく)などを人手で施す。 大坂夏の陣を描いた作品は多く残る一方、冬の陣で現存が確認されているのは