日本製鉄、JFEスチールは、数年先をゴールとする経営計画の中でデジタル変革(DX)戦略を打ち出した。ITに投じる金額や育成する専門人材の数などに違いはあるものの、作業効率化や労働生産性の向上、顧客満足度アップなどDXの狙いは共通する。ITはあくまで手段であり、現時点での人工知能(AI)の“限界”を認識している点も同じだ。鉄鋼のスマートな現場づくりに対する基本姿勢を探った。(編集委員・山中久仁昭) 2021年度は鉄鋼業界にとって“DX推進元年”。日本製鉄が5カ年、JFEスチールが4カ年の経営計画を始動し、脱炭素とともにDXをその柱に位置付けた。両社ともコンピューター活用で50年超の歴史を持ち、日本の製造業の情報化をリードしてきた。 これまでも各現場ではデータを収集してきたが、場合によっては部分最適でタコツボ的な利用にとどまっていた。DXでは蓄積する大量データを共有、分析、活用し、迅速な意思決