自分になにかよくないことが起きたら落ち込むが、おれの場合ほかのひとと比べて落ち込むレートがわりと低いというか、そういうのともちょっと違って、いい歳こいてもいまだ生き方にどこか投げ遣りなところがある。どっち方向にせよ舵取りがいい加減。似たようなところで夏目漱石「坊ちゃん」の主人公の「生まれついての無鉄砲で損ばかりしている」というアレがあるが、おれの場合たぶんべつに損ばかりしているかんじでもないし、あっても自業自得だし、無鉄砲というよりは投げやりであって、なにごとにも粘り腰が足りないという話だ。ともあれこれは、短期的にはガサツというか痛覚が鈍いので適当に生きていられて便利だか、長い目で見てよくないことで、ダメージ蓄積の自己診断が遅れて、だいたい気が付いたときにはどうにもならず見ている方角へ向かってとにかく歩くよりほかにやることがなくなっている。本来ひとの生き方というものはもうちょっと自由度とい