前任の森下俊三委員長(元NTT西日本社長、2019年12月就任)は、放送史に残る“愚行”を重ね、経営委の権威を地に貶めた。かんぽ生命保険の不正販売報道を巡る番組干渉、開示を義務づけられている議事録の隠蔽、認められていないBS番組のネット配信関連予算の承認など、公共の福祉という放送法の理念をきちんと理解していたとは言い難い失態が相次ぎ、そのうえ自らの責任を認めようとしなかった。当然のことながら、その醜態は激しい批判を浴びた。 それだけに、古賀新委員長には、経営委はもとより執行部を含めたNHK全体のガバナンスの立て直しに期待がかかる。だが、財界人としての実績はともかく、メディア人としては「ズブの素人」といってもいいだけに、単なるお飾りになりかねないという危惧も強い。 NHKは、ネット業務が放送と並んで「必須業務」となり、「ネット受信料」の創設も予定され、名実ともに「公共放送」から「公共メディア