ロシアによるウクライナ侵攻を受けて書かれたウラジーミル・ソローキン(*)のエッセイ「プーチン 過去からのモンスター」は多くの海外メディアに掲載された。「文藝 2022年夏季号」(2022年4月7日発売)では、オリジナルのロシア語テクストからの全訳を緊急掲載している。 その掲載を受け、ソローキンの多くの作品の訳者であり、「プーチン 過去からのモンスター」を翻訳した松下隆志氏による、ソローキン作品とプーチンに関するエッセイを掲載します。 *ウラジーミル・ソローキン 1955年ロシア生まれ。コンセプチュアリズム芸術運動に関わりながら、非公式に作家活動を行う。「現代文学のモンスター」の異名をとる。主な作品に『ロマン』『青い脂』『氷三部作』『テルリア』、短篇集『愛』など。 対峙する二人の「怪物」 松下隆志 2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻を受け、ソローキンは速やかに「過去からのモンスタ