関東でウイグル料理店を営むハリマト・ローズさん(46)に、故郷からテレビ電話が掛かってきたのは5月上旬。自治区北部のチョチェク市に住む兄(56)があいさつもそここそに画面の向こうから切り出した。「日本で反中デモに参加したのか。地元政府の人がそう言っている」。「記憶にない」と答えると「毎週末、おまえの家に在日ウイグル族が集まっているというのは本当か」とたたみかけた。 ハリマトさんは2005年に東京の大学院へ留学し、修了後、日本に定住。18年に中国政府がテロ対策を名目に約100万人に上るウイグル族らを収容施設に送ったと報じられると、抗議の声を上げ始めた。今は日本ウイグル協会の幹部として抑圧政策の撤回を訴える。こうした活動は兄には伝えていなかったが「そんな組織には参加しないでくれ。私たち家族のことも考えてほしい」と求めてきた。 よく見ると兄は周囲に目配せするなど落ち着きがない。不審に思ってひそか