EV市場が冷え込んだ2023年、トヨタはハイブリッド車の売り上げを伸ばし、独り勝ち状態となった。 そして2024年5月には北米で水素事業本部を設立し、「未来の自動車」として普及を目指してきた水素自動車への投資も加速させている。 だが、ここにきて水素自動車「ミライ」に暗雲が立ち込めていると、米オンラインメディア「インサイドEVs」は報じる。一部のミライ所有者たちはトヨタに車両の買い戻しを求め、訴訟を起こすまでに至っている。
ヨハン・ノルベリ(50)は根っからの楽観主義者で、その主張を裏付ける論拠を持ち合わせている。古典的自由主義とグローバル化の熱烈な擁護者であるこの歴史学者は、ある意味、心理学者のスティーブン・ピンカーの系譜に連なり、「私たちは最善の世界に生きている」と主張する。 スウェーデン人のノルベリは、多くの人にとってシステムを推進する原動力である「利益の追求」を、「俗悪」なものだと考えている。彼が関心を寄せているのは、もっと「美しい」もの、つまり、より良い世界を創ることなのだ。 米ワシントンにあるシンクタンク「ケイトー研究所」のシニアフェローを務めるノルベリは、『資本主義宣言』(未邦訳)という挑発的なタイトルをつけた新著で、「読者の注意を文化戦争から逸らし、私たちの未来にとって重要な問題へと引き戻す」ことを目指している。スペイン紙「エル・パイス」が彼にインタビューした。 ──あなたは、社会正義の実現に
伝説の投資家ジム・ロジャーズが「読者の質問」に答えます 日経平均株価は5万円、6万円とまだまだ上昇する?
ジョー・バイデン米大統領が「日本は外国人嫌いで移民を望んでいない」などと発言したニュースは海外メディアも一斉に報道した。なかには、記事のコメント欄に異例の数の書き込みがあった欧米メディアもあり、この報道に対する読者の関心の高さをうかがわせた。 「中国やロシアと一緒くた」に違和感 米紙「ワシントン・ポスト」は、「バイデン、選挙イベントで同盟国日本を中露のような『外国人嫌い』と呼ぶ」と見出しをとった5月2日付の記事で、問題となっている発言に触れ、「米国の同盟国を中国やロシアといった権威主義的なライバル国と同じグループに入れ、移民不足が『経済がひどく行き詰まっている』理由ではないかと示唆した」と記した。
2008年に中国で出版され、2014年に英語版が出たのを機に世界的ベストセラーとなった長編SF小説『三体』。3月には『ゲーム・オブ・スローンズ』の制作陣による実写ドラマ版が配信され、いまなお新たなファンを獲得している。英紙「ガーディアン」が、本作のヒットの理由やSFとの出会い、実写化、そして物議を醸した過去の政治的発言について、著者の劉慈欣に聞いた。 「中国にもSFはあるの?」 中国人作家・劉慈欣によるSF小説『三体』は世界中で数千万部を売り上げており、2015年のヒューゴー賞をはじめ、数々の賞を受賞している。本作はいま、『ゲーム・オブ・スローンズ』の制作陣が手がけた実写版が公開されたのを受け、英語版がふたたびアマゾンのベストセラーチャートにランクインしている。 しかし、10年前の英国で、劉や『三体』の名を聞いたことがある人はほとんどいなかった。この小説は、現代の科学者たちの怪死事件を発端
互いに「仮名」で呼び合う従業員 中国ECサイトTemuの親会社PDDホールディングスは2023年7~9月期決算で、前年同期比の2倍に近い94億ドル(約1兆4200億円)を売り上げた。 だが同社の物流部門は、競合他社と比べてかなり小さい。2023年初頭時点でPDDの従業員数は、アリババやアマゾンより大幅に少ない1万3000人弱だった。物流関連のインフラも小規模で、この点もアリババやアマゾンとは対照的だ。 アリババが1100ヵ所の倉庫の維持管理などを含め、有形固定資産に年間50億ドル(約7550億円)を費やしているのに対し、PDDの支出額は1億4600万ドル(約220億円)に過ぎず、オフィス備品やIT機器、ソフトウェアがメインだ。PDDのインフラに関するデータは、「充実したサービスのために物流に力を入れる」というEC業界の定石を覆すものだと言える。 PDDの物流網はほとんどが外部委託のため、数
「格差が減った」と感じにくい理由 ──あなたによれば、私たちは「格差の大収斂」の時代に生きていて、世界はこの100年間で類を見ないほど平等になっています。しかし、そのように感じる人がほとんどいないのはなぜでしょうか。 人々は、主に自分の国で起きていることに集中します。1980年から国家内部での不平等の増大がみられました。フランスのような例外もありましたが、米国や英国、中国、インドで起こっていたのはまさにそれであり、それらの国々の人々の関心を占めていました。 そして、経済学者のトマ・ピケティが『21世紀の資本論』を出版してからは、世界で不平等が増大しているという認識は一段と広まりました。 私が提唱した「エレファント・カーブ」では、グローバルで見ると、1%の富裕層とアジアの中間層が、他グループとは対照的に所得を増やしている事実を示しています。 世界的な不平等が縮小していることは、アジアで起きて
2月16日、米マイクロソフト社長のブラッド・スミス(65)は、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議に出席した。そこで彼は、『2024年の選挙におけるAI悪用に対抗する技術協定』に約20社のテック企業と共同で署名した。 これは不正利用に対抗する技術を開発し、AIを管理する企業の透明性向上を目指すものだ。会議後、スペインのペドロ・サンチェス大統領に会うためにマドリッドを訪問したスミスに、スペイン紙「エル・パイス」が話を聞いた。 AIに判断まで委ねてはいけない ──マイクロソフトの生成AI「コパイロット」に、どんな質問をあなたにすべきか聞いてみました。その結果、「今日の社会におけるAIの役割に関して、どんなビジョンをお持ちですか。そして、その開発を倫理的で責任を持って確実に進められると思いますか」と伺うようにと返ってきました。それに加え、私はコパイロットに仕事を奪われうるのか、教えてください
米国が誇ってきた「覇権」 米国という帝国は、ドルという基軸通貨と、自国の軍隊を通じて、世界の覇権を行使してきた。 ドルがこれほど長いあいだ覇権を握れたのは、1980年代以降、インフレ率を2%という妥当な水準に抑えてきたからだ。米軍がその地位を確実なものにできたのは、その覇権に疑いの余地がなかったためだ。 しかし、いまその両方が疑問視され、米国の衰退が実感されている。米国では生活必需品の価格は2桁のインフレに見舞われ、米軍の態勢は急速に衰え、その勝利はもはや確実ではない。 米軍の何が間違っているのかを理解するには、米軍事会社ブラックウォーターの活躍に目を向ける必要がある。同社が活躍したのは、軍隊が官僚主義的になりすぎていたためだ。2005年、米南東部を襲ったハリケーン・カトリーナの直後、被災地の連邦政府施設の保護を担当したのも彼らだ。当時、警察の労働組合が介入し、警官の派遣が阻止されたためで
「知ってるはずなのに…」 初めて経験するはずのことが、なぜか以前にも経験したように感じられる──「既視感」、あるいは「デジャヴ」と呼ばれるこの現象はよく知られており、実際に体験したことのある人も多いだろう。 しかし、デジャヴの反対ともいえる「ジャメヴ」という現象についてはあまり知られていない。2023年、このジャメヴについての研究が、「人々を笑わせ、考えさせた研究」に贈られるイグノーベル賞を受賞した。 研究チームのメンバーで心理学者のアキラ・オコナーとクリストファー・ムーランによれば、ジャメヴとは、「見慣れているはずのものが、何らかの形で非現実的、または新しいものに感じられること」。
This article is republished from New Lines Magazine. コロンビア大学は「リベラル強制収容所」 パク・ヨンミは、ジャーナリストに対して自己弁護をするのにうんざりしている。「これは全部、本に書きました。百万回も説明しているんです」。45分に及ぶ、緊張した、ときにシュールなインタビューの終わり際に彼女はそう言った。「彼らは私を信じようとしなかったんです」 パクはかつて、主力メディアでもてはやされた。2014年のダブリンでおこなわれた青年サミットで、彼女が情感たっぷりに脱北経験を語ったスピーチが大々的に拡散されると、当時の居住国であった韓国の二流セレブから、世界で最も有名な脱北者のひとりに転身したのだ。 「ニューヨーク・タイムズ」や「デイリー・ビースト」などのメディアが、読者に固唾を飲んで読ませる記事を掲載した。たちまちパクはエリートの一人として
英「フィナンシャル・タイムズ」紙は毎年、各分野の専門の記者たちによる国際情勢や経済の予測を掲載している。2024年も話題の20の政治や経済の項目において、それぞれの専門記者たちがどう見ているのかをまとめた。 2023年の英「フィナンシャル・タイムズ」紙が誇る記者の未来予想は、久々に最高成績を収め、3つしか予想をハズさなかった。だが、ハズしたものは大ハズレだった。S&P500種株価指数は10%以上下落することなく、逆に20%以上の上昇を見せた。欧州が停電に見舞われることはなかったが、それが起きるのは極寒の冬に限られると付言していた(実際はそこまで寒くはならなかった)。アフリカでデフォルトの連鎖が起きることはなかったが、12月末にエチオピアがデフォルトに陥った。 3年連続で、戦争や軍事活動(イスラエルとハマス、ロシアとウクライナ、そして、もしかしたら中国と台湾の間でも勃発するかもしれない)に関
ペットボトルの水を1リットル飲むたび、私たちは何十万という微細なプラスチック片を飲み込んでいることが研究によって明らかになった。米紙「ワシントン・ポスト」によれば、これはいずれ、人間の健康に重大な影響を及ぼす可能性があるという。 私たちは大量のプラスチックを飲んでいる 学術誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された論文によると、平均的なペットボトル入り飲料水1リットルには約24万個の粒子が含まれており、そのほとんどが「ナノプラスチック」であることが判明した。これらは1マイクロメートル(=0.001ミリメートル)以下のサイズの粒子だ。 過去数年間、科学者たちは「マイクロプラスチック」(サイズが1マイクロメートルから半センチメートルまでのプラスチックの破片)に注目してきたが、これはいたるところで見つかっている。プラスチックの小さな破片は、深海や南極の海氷、人間の胎盤の中からも見つかってきた。 こ
2023年10月、アーティストの草間彌生は、過去に人種差別発言をしたことを謝罪した。 価値観を時代にあわせてアップデートする過程で、かつての過ちを認めることは大切だろう。だが、それによって「キャンセル」されることは必ずしも正しいのだろうか──英メディア「アンハード」が論じる。 美術界の大御所が排斥の危機に 「人は生命の美と同じように恐怖も描くべきだと、私はずっと前に心に決めた」 芸術家はいかに怪物を創り出すか──あるいは、いかに怪物になるか。これを主題にしたH.P.ラヴクラフトの短編小説『ピックマンのモデル』の主人公はそう語る。 ピックマンの描いた絵は悪夢そのもので、語り手を務める友人かつ芸術家仲間は、ひと目見るのも堪えられないほどだ。語り手は身震いしてこう語る。
ヘルムート・レゼン(左、79)とカロリーネ・ゾンマーフェルト(42)夫妻。ともにドイツ出身の作家。夫の政治思想は左派で妻は右派 男は女を「人種差別主義者」と罵倒し、妻は夫を「マゾの国家主義者」と非難する──だが、思想的にまったく相容れないこの2人は、20年連れ添った仲睦まじい夫婦でもある。 「お互い言いたいことを言いながら、相手の話も聞く」という彼らの姿勢は、結婚生活を良好に保つだけでなく、安定を欠いた国際社会にも必要不可欠なものだと米紙は指摘する。 妻の好きな「民族同一性」という言葉は、夫には「排斥」にしか聞こえない。 夫の好きな「多様性」という言葉は、妻の耳には「イスラム化」と聞こえる。 夫は妻を、歴史を忘れていると非難する。それに対して妻は、歴史に囚われすぎていると言い返す。2016年、トランプが米大統領選に勝利したとき、妻はシャンパンで祝杯をあげた。 「君は人種差別主義者だ!」 「
過去数十年にわたり、韓国は多くの子供たちを養子として海外に送ってきた。いま、養子先の国で成長した彼らが、この国の腐敗した養子縁組制度の実態を明らかにしようと、力を合わせている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材した。 亡くなったはずの我が子が現れた ミア・リー・ソレンセンはオランダ人の両親から、自分は韓国にいる実親によって養子に出されたと聞かされていた。養子縁組証明書によれば、彼女は1987年に未熟児として生まれたが、両親は医療費を支払えず、我が子が海外で「幸せ」になることを望んだのだという。 しかし2022年、ソレンセンが韓国で実の両親を発見すると、彼らは娘が生きていることを信じられなかった。両親いわく、母親は出産中に気絶してしまい、目が覚めてから診療所のスタッフに、子供は亡くなったと聞かされていた。 韓国は、国際養子縁組によって海外に移住した人が世界一多い国であり、国際養子縁組の総数
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 米電気自動車(EV)メーカーのテスラのことが好きな人も嫌いな人も、同社の評価が自動車製造とはあまり関係がないという点では意見が一致するかもしれない。 EVの先駆者であるテスラの価値は、株式市場で最も関心が高い問いの一つだ。1日当たりの売買高が他の米国株を上回る日が多いことからもそれが分かる。価格を巡って意見が分かれることが売買の大きな要素となっている。 データ会社バンダ・リサーチによると、年初来の取引日のうち92%で、個人投資家の資金が最も多く集まった米国株はテスラだった。一方で、別のデータ会社S3パートナーズのデータによると、テスラは空売り残高が現在約210億ドル(約3兆1400億円)と、こちらも米国株でトップだ。
一列に並んだ若い女子体操選手たち一人ずつの首にメダルをかけていく審判。だが黒人の少女の前だけ素通りして、彼女にメダルを与えなかった──これは2022年3月にアイルランドで開催された競技会での表彰式の動画だが、数日前からツイッターで拡散され、国際的な批判を浴びている。 Welcome to Ireland where people get away with racism! This little black girl broke my heart. Don’t skip this post without leaving a million heart for her. Make her famous… pic.twitter.com/YYMIP1IALZ — Mohamad Safa (@mhdksafa) September 22, 2023 カメラマンやコーチなど、その場にいた大人の
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