◎水害被害の新宮・相賀地区/不明の大前さん長女に本贈る 新宮市立図書館は、約3千冊の本を積んで市内を回り貸し出しする自動車文庫「なかよし号」の巡回地点の一つだった、同市相賀(おうが)の雑貨店「大前商店」前での貸し出しを中止することを決めた。昨年9月の台風12号水害で同商店が濁流にのみ込まれ、当時88歳だった大前習子さんが行方不明となるなど被害が出て相賀地区の住民が減ったことが理由。「最後の日」となった21日は、図書館から長女の幸子さん(69)に習子さんが好きだった推理小説の文庫本3冊が贈られた。 図書館によると、なかよし号は、1977年から毎月第3水曜日に大前商店前で、地区の住民らに本を貸し出していた。台風12号前の昨年8月末の時点で同地区には22世帯34人が暮らし、貸し出しの冊数は多い月で30冊前後に上った。だが、今は5世帯8人が残るだけで、本を借りる人もいなくなったという。 幸子